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「下の階の人、お土産渡してくるの」在宅の日を狙ってインターホンを鳴らす住人に、私が身構えた理由とは

「下の階の人、お土産渡してくるの」在宅の日を狙ってインターホンを鳴らす住人に、私が身構えた理由とは
女性限定という安心
その部屋を選んだ決め手は、女性限定という条件でした。
大家さんの敷地に建つ、上下に一軒ずつ、たった二軒だけの小さな賃貸です。
女性しか入らないと聞いて、私はすっかり安心していたのです。
一人暮らしを始めてしばらくは、静かで落ち着いた毎日でした。
階下も長く空いたままで、建物にいるのは自分だけのような気楽ささえあったのです。
ところがある日、仕事から帰ると、階下の窓に見慣れない灯りがともっていました。
越してきたのは年配の男性でした。女性限定と聞いていたはずなのにと戸惑いましたが、事情があるのだろうと、深くは考えませんでした。
出張土産のおせんべい
顔を合わせれば会釈をする、それくらいの間柄でした。
とりたてて言葉を交わすこともなく、しばらくは穏やかに過ぎていったのです。
ある日の夕方、玄関の鍵を開けて中に入った、まさにその直後でした。
まるで見ていたかのような間合いで、インターホンが鳴ったのです。
「出張のお土産です。よかったら」
ドアを開けると、階下のあの人が、大きなおせんべいの箱を差し出していました。
断る間もなく、私はお礼を言って受け取るしかありませんでした。
悪い人ではないのかもしれません。
それでも、なぜ帰ってすぐだと分かったのだろうという引っかかりが、どうしても消えませんでした。
結局その箱は開けないまま、翌日、職場の同僚にそっともらってもらったのです。
在宅を見計らう呼び鈴
それから数か月は、これといったことも起きませんでした。
あの日のことも、考えすぎだったのだと思うようにしていたのです。
変わったのは、家で仕事をするようになってからでした。在宅で机に向かっていた昼下がり、またあのインターホンが鳴りました。
玄関の画面には、見覚えのあるあの人が映っていたのです。
私が家にいる日にかぎって、まるで見計らったように呼び鈴が鳴る。
その符合に、私はだんだんと身構えるようになっていきました。
「下の階の人、お土産渡してくるの」
気心の知れた友人にだけ、私はそうこぼしました。
口にしてみると、大した事件でもないのに、自分でも不思議なくらい落ち着かない気持ちになったのです。
相手が何か悪さをしたわけではありません。ただ、私が在宅の日を、どこかで知られているような気がしてならない。
その薄い気配だけが、今も部屋のどこかに、そっと残り続けています。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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