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「内孫が先よ、あんたは後にして」法事の食卓で手を止められた従姉に、大人になった私が返した一言

祖母の家に集まった日
祖父の法事の日、親戚一同が祖母の家に集まりました。
祖母にとって孫は3人です。長男の娘である私と、父の妹の子である従姉が2人。年はどちらも私より上でした。
「また背が伸びたね」
「今度うちに遊びにおいでよ」
従姉たちは会うたびにそう言って、私を子ども部屋へ連れていってくれる人でした。内孫だの外孫だのという言葉があることを、私はその日まで知りません。
読経が終わり、座敷に祖母の手料理が並びます。煮しめ、いなり寿司、大皿に山になった唐揚げ。
子どもは同じ卓と決まっていたので、私と従姉2人は並んで座りました。
同じ皿に伸びた手
唐揚げの皿に、手が二つ同時に伸びました。
私の手と、いちばん上の従姉の手です。
「あ、先にどうぞ」
従姉がそう言いかけたとき、祖母の手が横から出てきて、従姉の腕の手前で止まりました。
「内孫が先よ、あんたは後にして」
座敷の話し声が、一拍だけ途切れます。
(内孫って、なんだろう)
意味の分からない私は、言われるまま唐揚げを取りました。
従姉は笑って箸を膝に下ろし、何事もなかったように漬物の小鉢へ手を伸ばします。大人たちは誰も何も言いませんでした。
嫁いだ娘の子は外孫、跡取りの子は内孫。
その順番が祖母の世代の当たり前だったと知ったのは、ずいぶん後のことです。
十五年後の同じ座敷
祖母の法事で、同じ座敷にまた親戚が集まりました。
並んでいるのは仕出しの折詰で、卓の真ん中には誰かが持ってきた唐揚げの大皿があります。
従姉と私の手が、また同じ皿の上で重なりました。
「あ、ごめん」
従姉がとっさに手を引きます。上座から伯父の笑い声が飛んできました。
「ばあちゃんなら、内孫が先だって言うところだな」
座敷が笑いに包まれかけて、従姉はうつむいたまま箸を置きました。
膝の上に手を下ろすしぐさが、あの日とそっくりです。私は皿を持ち上げて、従姉の前にそっと置きました。
「順番は、もうないよ」
伯父の笑い声が途中で止まりました。何か言いかけて、湯呑みに口をつけます。しばらくして、隣にいた伯母が小さくうなずきました。
「そうね。おばあちゃんの時代の話よね」
従姉は唐揚げを一つ取って、それから私の取り皿にも一つのせてくれました。
「先にもらっちゃった」
「どうぞ、いくらでも」
伯父は皿が回ってくると、黙って自分の分だけ取って、そのまま隣へ回しました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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