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「鉢植えも物干しも同じにしました」真上の夫婦が毎日15分うちのベランダを凝視→視線の意味を悟った朝

少しずつ揃っていくベランダ
一人暮らしを始めた1Kのアパートで、その違和感に気づいたのは入居して半年ほど経った頃だった。真上の階に越してきた若い夫婦は、最初は挨拶を交わす程度の、ごく普通の住人だった。
きっかけは、私がベランダに置いた小さな鉢植えだった。翌週、真上のベランダにも、まったく同じ鉢植えが並んでいた。
偶然だと思った。同じ店で売っているものなら、被ることもある。そう自分に言い聞かせた。
けれど、それだけでは終わらなかった。物干し竿の位置、洗濯ばさみの色、サンダルの向きまで、私の真似をするように少しずつ揃っていったのだ。
最初は一つ、二つ。それがいつのまにか、うちのベランダにある物すべてに及んでいた。まるで、上の階から私の暮らしを一つずつ写し取っているようだった。
ある朝、ゴミ捨て場で顔を合わせた奥さんが、にこやかに切り出した。
「鉢植えも物干しも同じにしました」
悪気はない、という顔だった。だからこそ、背筋が冷たくなった。
「あの、どうしてですか」
そう尋ねても、奥さんは首をかしげて笑うだけだった。
毎日15分の視線
それからだった。ベランダに出るたび、上から視線を感じるようになったのは。
洗濯物を干していると、真上の手すりから、じっとこちらを見下ろす二人がいた。
「今日も、いいお天気ですね」
声をかけられても、二人の目は私の手元をなぞっていた。何を干したか、どこに置いたか。確かめるような視線だった。
外出しても同じだった。バス停まで来ると、少し離れて同じバスを待つ二人がいた。私が持ち直したエコバッグを、奥さんもそっと同じ側の手に持ち替えた。
偶然では、もう説明がつかなかった。部屋に戻ってカーテンを閉めても、天井の向こうに気配が張りついているようで、眠れない夜が続いた。
思いきって管理会社に相談してみたこともある。担当者は「証拠がないと、注意も難しくて」と言葉を濁した。真似をされ、見られている。それだけでは、確かに事件でも何でもないのだ。
それでも、恐怖は日ごとに濃くなっていった。試すようにベランダの鉢植えの位置をそっと変えた夜、上の階の窓に、こちらをのぞき込む人影がじっと立っていた。翌朝には、真上でも同じ鉢植えが、私と寸分違わぬ位置に動かされていた。
視線の意味を悟った朝、私は不動産屋に電話をかけていた。事情を話すと、担当者は少し黙ってから、静かに言った。
「……できるだけ早く、次のお部屋を探しましょう」
引っ越しの当日まで、真上のベランダには私と同じ鉢植えが、変わらず並んでいた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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