Share
「ごめん何も作ってこれなかった〜」ランチ会で手ぶらで現れるママ友。だが、テーブルに料理が並んだ時の姿に絶句

持ち寄りの暗黙ルールを毎回突き抜ける女
ご近所のママ仲間で月一の持ち寄りランチ会をはじめて、もう4年になります。
唐揚げ担当、サラダ担当、デザート担当と、ゆるく分担して各自一品ずつ。我が家のテーブルが会場になることも多くて、私はいつも前日から仕込みに追われていました。
その中に、毎回どうしても手ぶらで現れるママ友が一人いるんです。玄関に立つ彼女は、開口一番こう言います。
「ごめん何も作ってこれなかった〜」
申し訳なさそうな眉と、空っぽの両手。
最初の頃は本当に忙しいんだろうと思って、誰も指摘しませんでした。子育てに介護に、それぞれ抱えるものはあります。
料理が並んだ瞬間だけ豹変する俊敏さ
ところが、その女の本領はテーブルに料理が並んだ瞬間に発揮されるのでした。さっきまでソファでぐったり座っていたはずなのに、ラップが外れる音と同時に、誰よりも早く席に着いている。
「美味しそう!」
手は止まりません。
唐揚げ、サラダ、煮物、デザート。
次から次へと取り皿に山を作り、誰よりも満足げな顔で頬張る。
気づけば一番大きな皿が空になっていて、隣のママと顔を見合わせる。そんな光景を、私たちはもう4年も眺めているのでした。
不思議なのは、本人にまったく悪気がないところです。食べながら子どもの近況を楽しそうに話し、帰り際には「今日もごちそうさま、本当に助かる〜」とにこにこ手を振って去っていく。
持参したのは笑顔と食欲だけ。その潔さは、いっそ感心すら覚えるレベルなのでした。
一度、別のママ友がやんわりと「次は飲み物だけでもお願いね〜」と冗談めかして声をかけたことがあります。
彼女は満面の笑みで「もちろん!」と即答しました。次の集まり、玄関で待っていた彼女の手は、やはり空っぽでした。
あのときの笑顔は何だったのか、誰も追及できないまま、ランチ会はその日もきっちり一品ずつ足りない状態で始まったのです。
もちろん我が家の食費は地味に削られていきます。文句を言える間柄ではないし、言うほどでもない金額ではある。
でも、唐揚げが彼女の取り皿に三段重ねで積み上がっているのを見るたび、口元は笑っているのに胸の奥が小さく曇るのです。
50代も後半に差し掛かり、長く続けてきた関係を波風立てて壊す気力もない。
次回もきっと「ごめん何も作ってこれなかった〜」が玄関に響くのでしょう。拍手すら送りたくなる潔さに、私はまた小さくため息をつくのでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


