Share
「もういい!レジ待てないから」カゴを置き去りにして帰った客。10分後、再度来店した客に告げた店員の一言

夕方のレジに伸びた長い列
仕事帰りに立ち寄ったスーパーは、夕方の買い物客で混み合っていました。
普段は二台動いているレジのうち、一台が機械の不具合で止まっていたようです。
若い店員が復旧作業に追われ、会計できるのはベテランらしい女性店員が立つ一台だけでした。
私も総菜と牛乳をかごに入れ、十人ほど並んでいる列の最後尾につきました。
女性店員は手際よく商品を読み取っていましたが、買い物かごいっぱいの商品を持つ客が多く、列はなかなか短くなりません。
「まだかかるの?」
私の少し前にいた女性が、何度も時計を確認しながら声を上げました。
「お待たせして申し訳ございません。ただいま応援を呼んでおります」
店員は会計の手を止めず、落ち着いた声で答えます。
しかし、女性は大きなため息をつくと、商品が入ったかごを通路へ置きました。
「もういい!レジ待てないから」
そう言い捨て、そのまま出口へ向かってしまったのです。
かごの中には、肉や牛乳、冷凍食品まで入っていました。
女性店員は慌てて追いかけることも、腹を立てることもありませんでした。
目の前の客の会計を終えると、放置されたかごを通路の脇へ移し、応援を頼みます。
「お客様がお帰りになったかごがあります。冷蔵品と冷凍品からお願いします」
すぐに別の店員が駆けつけ、商品を種類ごとに分けて売り場へ戻し始めました。
続いてもう一台のレジも再開し、長かった列が二つに分かれます。
列が短くなってから戻ってきた女性
それから十分ほど経ち、私の順番が近づいたころでした。
先ほど帰ったはずの女性が、再び店内へ入ってきたのです。
女性は短くなった列を見回すと、レジの前まで歩いてきました。
「さっき置いたかご、まだあるでしょ。やっぱり買うから会計して」
まるで自分の順番が残っているかのような言い方でした。
ところが、ベテラン店員は表情を変えません。
「申し訳ございません。お帰りになったため、商品はすでに売り場へ戻しております」
「えっ、取っておいてくれなかったの?」
「冷蔵品や冷凍品も入っていましたので、置いたままにはできません。お求めの場合は、恐れ入りますが、もう一度商品をお選びいただき、最後尾へお並びください」
店員はきっぱりと伝えましたが、声を荒らげることはありませんでした。
女性は売り場と列の最後尾を交互に見たあと、何も言わずに店を出ていきました。
その姿を見ても、店員は余計なことを口にせず、すぐに次の客へ声をかけます。
「大変お待たせしました。次の方、どうぞ」
混雑に腹を立てる気持ちは分かります。それでも、商品を置き去りにして帰れば、店員がそのまま取り置いてくれるわけではありません。
放置された商品を素早く片づけ、戻ってきた女性にも決まりを淡々と伝える。感情的にならずに場を収めた店員の対応に、経験の差を感じた夜でした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


