Share
「ごめん鍵開けて」マンションのオートロックで閉め出された住人。毎回鍵を開けてと頼む姿に我慢の限界がきた

1階に越したら毎日インターホンが鳴る
初めて1階の部屋に越した。
オートロック付きのマンションで、外へ出るときはボタンひとつで自動的に鍵が閉まる。
便利な反面、鍵を持たずに出て閉め出される人が意外と多いらしい。
越して数日で気づいた。エントランスの鍵を開けてほしいと、同じ建物の住民が私の部屋のインターホンをやたらと鳴らすのだ。
最初は「はい、どうぞ」と軽い気持ちで解錠ボタンを押していた。困ったときはお互いさま、くらいに思っていた。
けれど回数が尋常ではない。
朝に、昼に、夜に。
ひどいときは1日に何度も、しかも決まって同じ住民だった。
気づけば週3のペースで、うちのインターホンが鳴っている。
料理の途中でも、在宅で仕事をしている最中でも、おかまいなし。急いで受話器を取ると、決まって同じ声がのんびりと言う。
「悪いね、また忘れちゃって」
その口ぶりに、悪いと思っている気配はまるでなかった。私の部屋が、共用の解錠ボタンだとでも思っているみたいだった。
(私、この人の鍵係じゃないんだけど)
角を立てずに線を引いた日
ある日、私自身も鍵を忘れて数時間、外に閉め出された。
その時、防犯のためのオートロックを、誰彼かまわず開けていたら意味がないと悟った。
その週末、またインターホンが鳴った。
「ごめん鍵開けて」
私は少し間をおいて、できるだけ柔らかい笑顔で返した。
「防犯上できません」
相手は「え」と固まった。
「ごめんなさい、掲示板にも解錠の代行はご遠慮くださいって、貼ってあって」
住民はばつが悪そうに口ごもり、「あ…そうだよね、ごめん」と小さく言って去っていった。
インターホンが鳴らなくなった朝
翌週から、うちのインターホンはぱたりと鳴らなくなった。
それからその住民は、きちんと鍵を首からさげて歩くようになった。エントランスですれ違うと、決まりが悪そうに小さく会釈してくる。
規約を盾にひと言、線を引いただけ。角も立てず、インターホンの平和は戻ってきた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


