Share
「距離近くない?」同じ列で待ってるイライラしている男。だが、私の笑顔の対応で状況が一変

「距離近くない?」同じ列で待ってるイライラしている男。だが、私の笑顔の対応で状況が一変
背中に感じた、妙な圧
休日の昼下がり、私は夫と近所のドーナツチェーン店に立ち寄りました。ショーケースには色とりどりのドーナツが並び、どれにしようかと二人であれこれ相談していたんです。
「新作のチョコ、おいしそうだね」
「私はやっぱり、定番のオールドファッションかな」
そんな他愛のない会話をしながら、どのドーナツを箱に詰めるか、ゆっくり吟味していたときのことです。
ふいに背中のあたりに、妙な圧を感じました。振り返ると、六十代くらいの男性が、すぐ後ろに立っていたのです。
その距離が、とにかく近い。ほとんど背中にぶつかりそうな勢いで、明らかにいらいらした様子で、こちらをじっと見ています。
(距離近くない?)
よほど急いでいたのかもしれません。けれど、あまりの近さに、私は思わず身をすくめてしまいました。
隣の夫も、その圧を感じ取ったのでしょう。そっと肩を引いて、居心地悪そうにしています。楽しかったはずの買い物の空気が、じわりと張り詰めていくのが分かりました。
笑顔で譲ったら、空気がゆるんだ
正直、少し怖いな、と思いました。でも、私たちは特に急いでいたわけではありません。
ここで張り合っても、いいことなんて一つもない。そう考えて、私は男性のほうへ体を向け、できるだけ穏やかに笑いかけました。
「お先にどうぞ」
男性は一瞬、驚いたように目を見開きました。それから、少しばつが悪そうに、
「どうも」
と短く言って、私たちの前へと進んでいったのです。
その一言を境に、あれほど尖っていた男性の雰囲気が、ふっとやわらいだのが分かりました。
レジで店員さんに注文するときも、はじめは不機嫌そうでしたが、去り際にはほんの少しだけ、表情がゆるんでいたように見えたんです。
強く出られると身構えてしまうけれど、こちらが一歩引くと、相手も肩の力を抜くのかもしれません。
「ちょっと怖かったね」
「うん。でも、譲ってよかったかも」
「変に言い返してたら、せっかくの休みが台無しだったよ」
夫とそんなふうに小声で笑い合いながら、私は自分でも意外なほど、清々しい気持ちでいました。
あのとき、負けたくない一心で張り合っていたら、きっとお互いに嫌な気分のまま、後味の悪い一日になっていたはずです。
強く言い返すことだけが、正解じゃない。ほんの少しの余裕と笑顔が、張り詰めた空気を、こんなにもやわらかく変えてくれる。
腹を立てて損をするより、さらりと譲って得る心地よさのほうが、ずっと大きいと知りました。ささやかだけれど、確かに気持ちのいい出来事でした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


