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「場違いじゃない?」法事なのに浮いた装いで現れた親戚。だが、お坊さんの優しい一言で状況が一変

檀家に続いてきた法事
私の家は、代々続く檀家の家系です。親戚の法事といえば黒い喪服か、それに近い地味な装いが当たり前で、誰に言われるでもなく、みなが自然とそうしてきました。
その日も、故人を偲ぶ大切な法要でした。
本堂には親戚が静かに集まり、線香の香りがゆるやかに漂っています。誰もが背筋を伸ばし、始まりの時をじっと待っていました。
場に浮いた装い
そこへ、ひとりの親戚が入ってきました。
おじの妻にあたる人で、普段から少し変わった言動が多く、親族のなかでもどこか距離を置かれている人です。
その日の装いに、私は思わず息をのみました。
黒いベールのついた、大ぶりの帽子をかぶっていたのです。
(場違いじゃない?)
弔いの場には、あまりに華やかすぎる装いでした。
周りの親戚も気づいてはいましたが、誰ひとり言葉が出ません。指摘して波風を立てるのも、故人に申し訳ない。みな黙って顔を見合わせるばかりでした。
本人はどこ吹く風で、平然と席に着こうとしています。とがめる声もあげられないまま、重い沈黙だけが本堂に広がっていきました。
お坊さんの穏やかな一言
そのとき、法要を執り行うお坊さんが、静かに歩み寄りました。
とがめる調子はまるでなく、あくまで穏やかな声でした。
「せっかくお越しくださったのですから、そちらのお帽子は、どうぞこちらでお預かりいたしましょう」
差し出された手に、その人も断る理由が見つからなかったのでしょう。
少し戸惑いながらも、素直に帽子を外して手渡しました。
その人も、はっとした表情で我に返ったようでした。悪気があったわけではなく、ただ場の雰囲気に気づいていなかっただけなのかもしれません。
周りに向かって、小さく会釈をしていました。
とげのない一言のおかげで、誰も恥をかかず、その人の面目もつぶれずに済みました。張りつめていた空気が、すっとやわらいでいくのが分かります。
それからは何ごともなかったように、法要は静かに始まりました。読経の声が本堂に満ちるころには、先ほどの気まずさもすっかり消えていたのです。
ひとつ間違えれば、角の立つ騒ぎになっていたかもしれません。それを穏やかに収めてくださったお坊さんの心くばりに、私は深く頭が下がる思いでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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