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「下の子ね、大学はその程度だったわねえ」事情を知らないまま語る義母。我慢出来ずに返した一言

「下の子ね、大学はその程度だったわねえ」事情を知らないまま語る義母。我慢出来ずに返した一言
二人だけで伺った年始
年始の挨拶に伺ったのは、夫と私の二人だけでした。
子どもたちはそれぞれに予定があって、今年は無理に連れて行かないことにしたのです。
「あら、今年は二人だけなの」
「すみません、みんな都合がつかなくて」
こたつに座ると、義母がみかんの籠をこちらへ押してきました。お茶が出て、年賀状の話がひとしきり続いて、それから話は子どもたちのことになりました。
事情を知らないまま並ぶ言葉
「下の子ね、大学はその程度だったわねえ」
湯呑みを持つ手が止まりました。
「親戚とも話してたんだけどさ」
次男には、長く学校に通えない時期がありました。
それでも現役で進学を決めた春のことを、私も夫もよく覚えています。
義母はその一年を知りません。伝えずにきたのは、こちらの選択でもありました。
話はそのまま上の子に移ります。
「あの子も、来たって一言もしゃべらないじゃないの」
長女は人と会うことに慎重なところがあって、それでも年に何度かは自分から玄関をくぐっていました。
そこまでは、義母には見えていません。
隣の夫は、みかんの筋を一本ずつ取っていました。
玄関で靴を履きながら
「そろそろ失礼します」
コートを羽織って玄関へ下りると、義母も上がり框まで見送りに出てきました。
話はまだ続いています。
「次はちゃんと連れてらっしゃいよ。顔くらい見せるもんでしょう」
靴べらを下駄箱に戻して、顔を上げました。
「子どもの話はもうやめてください」
声を張ったわけではありません。義母の口が、半分開いたまま止まりました。
「……そんなつもりで言ったんじゃないわよ」
「あの子たちには事情があります。お義母さんがご存じないだけです」
言いかけた言葉を、義母は飲み込みました。帯のあたりを、手が何度も往復しています。
廊下の奥から義父が出てきて、私たちの靴の向きを直しました。
「母さん、その話はもうやめないか」
義父はそれだけ言って、台所へ戻っていきます。夫が私の横に並んで、義母のほうを向きました。
「俺も、ずっと同じことを思ってた」
義母は返事をしませんでした。柱に手を置いたまま、三和土のあたりを見ています。
門を出るところで振り返ると、義母はまだ玄関に立っていました。目が合うと、先に会釈をしたのは義母のほうでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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