Share
「明日早いから静かにして」夜中に高熱の息子の面倒を見ない夫。翌朝、夫にワンオペさせた結果

39度の夜に返ってきた一言
平日はいつも私ひとりで、家事も育児も回していた。それでも夫は、飲み会や親戚の集まりになると決まって胸を張る。
「俺もちゃんとイクメンだろ」
その言葉と現実の落差に、私はずっと反論を飲み込んできた。
そんなある晩、5歳の息子が高熱を出した。夜中に何度も目を覚ましては泣き、私の腕にしがみついてくる。
体温計は39度を超えていた。
冷えたタオルを替え、汗を拭き、私は一睡もできなかった。さすがに手が足りず、隣で寝ている夫を揺すった。
「39度もあるの、代わって」
夫はスマホの画面に目を落としたまま、布団を頭まで引き上げた。
「明日早いから静かにして」
それきり、寝息が聞こえてきた。
解熱剤を飲ませる時間も、氷枕を替えるのも、水分を取らせるのも、その夜は結局、全部私ひとりの仕事だった。
薄暗い寝室で、私は熱にうなされる息子の背中をさすりながら、何度も時計を見上げた。針が二時、三時と進んでも、隣からは規則正しい寝息だけが聞こえていた。
「今日は全部やって」と家を出た
明け方、息子の熱がようやく少し下がった。ふらつく足で台所へ向かおうとした私に、起きてきた夫があくびまじりに言った。
「俺の朝ごはんどうするの?」
その瞬間、張りつめていた糸がぷつりと切れた。私は財布と充電器だけをバッグに入れ、上着をつかんだ。
「今日は一人で全部やって」
看病も、洗濯も、食事も、今日は夫ひとりの仕事だ。そう言い残し、私は玄関を出た。
行き先もあえて伝えず、その日は連絡を取らないと決めていた。
昼過ぎ、スマホが立て続けに震えた。夫からのメッセージだった。
「薬っていつ飲ませるの」
「熱がまた上がってきた、病院に連れて行くべき?」
返事をせずにいると、文面はどんどん短く、そして焦った調子に変わっていった。夕方には「洗濯機の回し方が分からない」とまで届いた。
夜、家に帰ると、夫は台所の床に座り込んでいた。流しには洗い物が積み上がり、床には脱がせたままの子ども服が散らばっている。目の下には濃い隈ができ、シャツはよれよれだった。
「一日で、こんなに大変なんだな」
いつも人前で見せていた余裕の表情は、どこにも残っていなかった。夫は何か言いかけて口をつぐみ、小さく息を吐いて、私と目を合わせられずにうつむいた。かける言葉が見つからないようだった。
それから夫は、外で「イクメン」を名乗ることをやめた。休みの日には自分から息子の額に手を当て、薬の時間をメモに書くようになった。あの夜のことを、私たちはもう蒸し返していない。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


