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「うちの子がいじめられた!給食を取られた」と園に猛抗議する保護者。だが、取ったのは思わぬ人物だった結果

「うちの子がいじめられた!給食を取られた」と園に猛抗議する保護者。だが、取ったのは思わぬ人物だった結果
朝一番に届いたおたより
幼稚園で働いていた頃、朝の連絡帳におたよりが一枚はさまっていた。読み進めるうちに、手が止まった。
「うちの子がいじめられた!給食を取られた」
そう書き出された便箋には、続けてこうあった。お友だちに給食セットを取られた、これはいじめではないですか、と。
強い口調だった。我が子を思う親心が、文字の隅々からにじみ出ている。
「先生は、ちゃんと見てくださっているんですか」
放っておける内容ではない。私はその日の給食の様子を、ひとつずつ思い返した。子ども同士のやり取り、机の配置、誰が誰の隣に座っていたか。
「念のため、両方のお子さんに聞いてみましょう」
同僚の先生にも相談し、当事者とされる子たちに、責めない口調でそっと尋ねていった。
取ったのは、その子自身だった
すると、思いがけない事実が見えてきた。給食セットを取ったのは、いじめを訴えてきた保護者の、その子自身だったのだ。
自分のしたことを、お母さんには「された」と話していたらしい。
幼い子が、叱られたくなくて話を入れ替えるのは、めずらしいことではない。それでも、母親には丁寧に伝えなければならない。
「お電話で、少しお話しさせてください」
受話器の向こうの声は、最初は硬かった。
「本当に、うちの子が取られたんですよ」
「お母さん、落ち着いて聞いてくださいね。実は、反対だったんです」
私は事実を、できる限り穏やかに並べた。誰も嘘つきにしないように。子どもが自分を守ろうとしただけだと、言葉を選んで伝えた。
電話の向こうが、しんと静まり返った。
「……そう、だったんですか」
翌日、長い長い謝罪の手紙が届いた。便箋に、几帳面な字でびっしりと埋められていた。
三度目に、変わった一言
同じようなことは、その後も三度続いた。三度目の電話を終えたあと、母親はしばらく黙ってから、ぽつりと言った。
「うちの子が、嘘をつくこともあるんですね」
責める声ではなかった。我が子を信じたい気持ちと、現実とのあいだで、ようやく折り合いをつけた声だった。
「お子さんを思う気持ちは、ちゃんと伝わっていますよ」
そう返すと、受話器の向こうで小さく息をのむ音がした。
「先生、いつも事実を確認してくださって、ありがとうございます」
頭を下げる気配が、電話越しに伝わってきた。それからの母親は、何かあるとまず言うようになった。
「まず、事実確認をお願いします」
頭ごなしに園を責めていた頃とは、立場がすっかり入れ替わっていた。
我が子を守る親であることは変わらない。ただ、決めつける前に立ち止まれる人に変わっていた。はっきりさせて、よかったと思えた出来事だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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