Share
「誰だ!」夜勤で背中をドンと押された→真っ暗の中に誰もいなかった瞬間に凍りついた本能

交代要員が消えた深夜の現場
もう何年か前の話ですが、いまだに思い出すと背筋が冷えます。
あの夜の感触だけは、はっきりと感覚として残っているからです。
私は道路工事の警備で深夜の夜勤に入っていました。交通量がほとんどないストレート区間で、こちらの端ともう片方の端を二人で受け持ち、車が来たら旗を振って徐行を促す役回りです。
深夜の二時を回ると、車は十分待っても一台も通らないような時間帯でした。
その夜、相方は途中で少し休むと言って、近くのトンネルの方へ歩いていきました。
狭い場所で風を避けて仮眠を取る気だったようです。寒い時期の屋外なので気持ちは理解できましたし、車もまったく流れていなかったので、私はそのまま黙って送り出しました。
誘導棒の赤いライトを胸の前で抱えるようにして、ガードレールに寄りかかって立ち続けます。
あたりは街灯も少なく、自分の足元だけが赤く照らされる小さな空間でした。
「マジで眠い」
声に出してみても、暗闇に吸い込まれていくだけでした。気合を入れ直したつもりで、目線を遠くに置こうとした矢先のことでした。
振り向いた先に誰もいなかった
立ったまま、ほんの数秒、意識が落ちかけたのが分かりました。
本当に一瞬のことでした。その直後、両手のひらで肩甲骨のあたりをはっきりと強く突かれたんです。指の付け根の固い部分まで感じ取れるほど、生々しい人の手の感触でした。
「ドン」
体ごと前に押し出されて、私はアスファルトに膝をついて転びました。
誰かが背後から両手で全力で押した、間違いなくその感触でした。
「誰だ!」
とっさに怒鳴って、すぐに立ち上がって後ろを振り向いた瞬間、声が喉の奥で固まりました。
真っ暗の中に、人影どころか動く物の影一つありません。風で揺れる木もなく、車のヘッドライトもなく、ただ規制帯のオレンジ色のコーンが並んでいるだけです。
トンネルの方を見ても、相方が出てくる気配はありませんでした。
手で押された感触ははっきり残っているのに、押した相手だけが消えている。
ここで起きたことを誰かに説明できる自信が、その夜は最後まで戻ってきませんでした。
家に着いて玄関を閉めても、まだ背中のあたりがじんわりとしびれているような気がして、その日はとてもじゃないけれど布団に入る気になれなかったのを覚えています。
後日その現場の話を相方にしてみても、彼は冗談だろうと笑うだけで、誰も本気で受け止めてはくれませんでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事

