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「まぁ、もう結婚は諦めろよ」叔父が酔って言った冗談。だが、伯母が一言で止めた瞬間

「まぁ、もう結婚は諦めろよ」叔父が酔って言った冗談。だが、伯母が一言で止めた瞬間
床の間から一番遠い席
親戚が集まるのは、毎年正月の二日です。座敷に上がったら、床の間から一番遠い隅に座る。それが私の決まりごとでした。
猪口を持って、煮物をつまんで、時間が過ぎるのを待つ。誰にも話しかけられなければ、その日はうまくいったことになります。
台所からは伯母が皿を運んでいました。父の姉で、この家の正月をずっと仕切ってきた人です。
「今年の酒は俺の奢りだからな」
床の間の前で、叔父が一升瓶を掲げていました。親戚のなかで一番の盛り上げ役だと、本人が言っている人です。
猪口を持ったまま絡まれて
徳利を提げた叔父は、盃をひと通り配り終えると、そのまま私の隣に腰を下ろしました。座卓の煮物を一切れつまんで、こちらへ体を向けます。
「どうだ、彼女は見つかったか」
「はあ」
「見つかったのか、見つかってないのか、どっちだ」
「まあ、ぼちぼちです」
「男が独りでいるのは、よくないんだよ」
「はあ」
去年も一昨年も、同じ問答をしました。私が短く返すほど、叔父の声は大きくなります。座敷の会話が、ひとつずつ止まっていくのが分かりました。
叔父は私の猪口に酒を注いで、それから座敷じゅうに聞こえる声で言いました。
「まぁ、もう結婚は諦めろよ」
笑い声が起きるのを待つような間がありました。
誰も笑いません。叔父は私の肩をどんと叩いて、自分の猪口を空けます。
伯母が置いた短い一言
お盆を持った伯母が、その隣で足を止めました。
「その話、あんたが決めることじゃないでしょう」
叔父の笑いが、途中で止まります。
「いや、俺は励ましてやってるだけで」
「励ましなら、言われた人が笑ってるはずよ」
伯母はお盆を座卓に置いて、私の前の空いた皿を下げました。叔父は何か言いかけて、それを飲み込みます。
「お酒はありがたいわ。付いてくる話はいらないけど」
座敷の端で、いとこが小さくうなずきました。向かいの叔母も「ほんとよね」と続きます。叔父は猪口を置いて立ち上がり、床の間のほうへ戻っていきました。
私は一言も言い返していません。伯母は何事もなかった顔で、私の湯呑みにお茶を注ぎ足していきました。それでも、隅の席が急に広くなった気がします。
帰り際、玄関で靴を履いていると、叔父が横を通ります。
「じゃあな」
目は合いませんでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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