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「手土産のお菓子くらい、普通は持つでしょ」お盆の帰省で義両親に詰められた。だが、夫の一言に救われたワケ

手ぶらでいい、と言われた夜
盆に義実家へ集まると決まったのは、七月の終わりでした。
日取りを知らせてくれた電話の最後に、義母がわざわざ付け足してくれたのを覚えています。
「手ぶらで来て大丈夫よ」
「いえ、何かお持ちします」
「気を遣わないで。こっちで全部用意するから」
そこまで言われて食い下がるのは、かえって失礼な気がしました。受話器を置いてすぐ、台所にいた夫にも伝えます。
「お義母さん、手ぶらでいいって」
「じゃあ、そうさせてもらおう」
当日の朝、車に積んだのは子どもの着替えと水筒だけでした。
玄関で止まった足
義実家に着いたのは十時前です。
引き戸を開けて子どもを先に上がらせたところで、義母が私の手元をじっと見ました。
「あら、何も持ってきてないの」
「手土産のお菓子くらい、普通は持つでしょ」
靴を脱ぎかけた足が、そのまま止まりました。式台に置いた子どものリュックだけが、やけに大きく見えます。
「すみません、気が回らなくて」
とっさに謝った私に、居間から出てきた義父の声が重なります。
「気が利かないなあ」
荷物を置いた夫が、玄関に戻ってきました。
「手ぶらでいいって、母さん言ってたよね」
「そんなの社交辞令に決まってるだろう」
夫が出した日付
夫は声を荒げませんでした。上がり框に腰を下ろして、携帯の通話履歴をゆっくり開きます。
「七月三十一日の夜、八時十二分。母さんからうちにかかってきた電話です」
義母が口を開きかけて、そのまま黙りました。廊下の時計の音だけが続いています。
「その電話で、手ぶらで大丈夫って母さんは言ってくれました。妻はそれを信じただけだよ」
「……言ったわね、私」
「言ったよ。荷物になるからって、気を遣ってくれたんだと思ってる」
義父が新聞を持ったまま、天井のほうを見上げました。
「なんだ、本当に言ってたのか」
「社交辞令かどうかは、言われたほうには分かりません」
私がそう返すと、義母は小さくうなずいて台所へ入っていきました。戻ってきた手には、冷やしてあった水ようかんの箱があります。人数ぶんきっちり並んだ、あの家の定番でした。
「これ、あとで開けましょう。……ごめんなさいね」
「はっきりして、よかったです」
その日、義母が私の手元を見ることは一度もありませんでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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