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「さっさと会計しろよ、幾らなんだ」床に小銭を投げつけた客。その後、レジで並んでいた客がかけた言葉とは

帰り道のレジで聞こえた声
仕事を終えて電車に揺られ、最寄り駅を出てすぐのコンビニに寄りました。
夕飯の惣菜と、缶コーヒーを一本。レジへ向かうと、先に会計をしている男性がいました。
「さっさと会計しろよ、幾らなんだ」
カウンターの向こうで、まだ若い店員の手が止まりました。
「失礼しました。八百六十円になります」
男性は財布から小銭をつかみ出すと、そのままカウンターへ叩きつけました。
硬貨がはじけて、いくつかが床に落ちていきます。
「拾えよ。そっちの仕事だろ」
店員はレジを回り込み、膝をついて一枚ずつ拾い始めました。
眉のあたりに力が入っているのが、後ろからでも分かります。それでも、口からは何も出ませんでした。
「お待たせしました。ちょうど、お預かりします」
袋を受け取った男性は、出口の手前で振り返りました。
「仕事なんだから、テキパキやれよ」
自動ドアが閉まると、店内が急に静かになりました。
店員は袋詰め台を布巾で拭きながら、顔を上げませんでした。
順番が来るたびに置かれた一言
自分の番が来て、惣菜と缶コーヒーをカウンターに置きました。
「変わり者はどこにでもいるものだから、気にしないで頑張ってください」
気の利いたことを言ったつもりはありません。
黙って出ていくのが、どうにも据わりが悪かっただけです。
店員は一度、目をしばたたかせました。
「……ありがとうございます」
袋を受け取って横へずれると、後ろに並んでいた作業着の男性が、財布を出しながら言いました。
「気にしないで。あんなの、真に受けるだけ損だから」
その次に並んでいた、部活帰りらしい高校生が続きます。
「俺も見てました。悪いの、そっちじゃないっす」
さらに後ろの、買い物袋を提げた女性が、商品をレジ台に置きながら言いました。
「いつも丁寧ですよね。私、それでここに寄るんです」
誰も、帰っていった男性の話はしませんでした。責める言葉も、笑う声もありません。
順番が来た人が短い一言だけを置いて、袋を提げて出ていく。それが、列の後ろまで順に続いていきました。
最後に並んでいた年配の女性は、会計の前に雑誌の棚の下へかがみました。
「これ、まだ残ってましたよ。奥まで転がってて」
差し出された手のひらに、十円玉が一枚だけ載っていました。
「……すみません。ありがとうございます」
店員は両手でそれを受け取ると、一度だけ深く頭を下げました。
しばらく、顔は上がりませんでした。目を伏せたまま、レジの縁を握っています。
外に出て、ガラス越しに中をのぞきました。店員は背筋を伸ばして、次の客に頭を下げていました。
あの人が置いていったものは、もう店に残っていませんでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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