Share
「臭いんだけど!誰か食べてるんやろ」空いた車内に響いた大声。だが、別の乗客が返した一言で空気が一変

空いた車内に、おいしそうな香りが流れてきた
地元へ戻るため、夕方の新幹線に乗ったときのことです。車内はそれほど混んでおらず、私の周りにも空席がいくつかありました。
窓の外を眺めていると、どこからか食べ物の香りが流れてきました。
少し強めの香りです。
夕飯どきだったこともあり、私は「おいしそうだな」と思ったくらいでした。誰が食べているのかは分かりません。離れた席から漂ってきているようでした。
次の駅で、若い女性と中年くらいの男性が乗ってきました。二人は話しながら通路を歩いてきたのですが、女性が車内に入った途端、大きな声を上げました。
「臭いんだけど!誰か食べてるんやろ」
静かな車内だっただけに、その声は思った以上によく響きました。
私は思わず顔を上げました。周囲でも何人かが一瞬だけ視線を向けています。
本人はホームで話していた声の大きさのまま入ってきてしまっただけなのかもしれません。それでも、もし食べている本人に聞こえていたら、気まずいだろうなと思いました。
「でも、いい匂いですよね」
すると、通路を挟んだ席に座っていた男性が、雑誌から顔を上げました。
女性を注意するような口調ではありません。ただ、何気なくこう言ったのです。
「でも、いい匂いですよね」
女性は一瞬黙りました。
「え、ああ…まあ、お腹はすくけど」
さっきまでの勢いとは違う、小さな声でした。
一緒にいた男性も「ちょっと声、大きかったな」と静かに言います。
女性は「うん」と短く返し、二人はそのまま席へ向かいました。
誰かが強く注意したわけでもありませんし、食べていた人が名乗り出たわけでもありません。ただ、そのやりとりを境に二人の声は小さくなり、車内もまた元の静けさに戻っていきました。
食べ物の香りは、しばらくすると気にならなくなりました。
同じものでも、「くさい」と言われるのと「いい匂い」と言われるのとでは、受け取り方がずいぶん違うものです。責めるでもなく、何気なく返した男性の一言が妙に印象に残った出来事でした。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


