MENU

Share

HOME LIFESTYLE STORY COLUMN

「引き受けるって言うまで、電話を切りません」夕飯の支度中にかかってきた電話。だが、思わぬ要望に困惑

引き受けるって言うまで電話を切りません夕飯の支度中にかかってきた電話だが思わぬ要望に困惑

夕飯の支度中にかかってきた電話

その年、私はPTAですでに別の役員の長を引き受けていました。

次年度の級長がまだ決まっていない、という話は耳にしていましたが、私は別の役を担当していたため、自分に話が来るとは思っていませんでした。

ある日の夕方、夕飯の支度をしていると電話が鳴りました。出てみると、前年度に級長をしていた保護者でした。

「急にごめんなさい。次の級長をお願いする予定だった方が、難しくなってしまって……。引き受けてもらえませんか」

困っている様子は伝わってきました。ただ、私にもすでに担当している仕事があります。

「すみません。私も別の役の長をしているので、これ以上は難しいです」

そう答えたのですが、相手はなかなか引き下がりませんでした。

「そこを何とかお願いできませんか。次の人が決まらないと、私も困ってしまって」

「申し訳ないですけど、本当にできないんです」

何度か同じやり取りをしたあと、相手から思いがけない言葉が返ってきました。

「引き受けるって言うまで、電話を切りません」

私は思わずコンロの火を止めました。

ここまで食い下がるのを見ると、相手も「次の人を見つけなければ」と焦っているのかもしれません。それでも、こちらが無理をして引き受けるわけにはいきませんでした。

お願いする相手を、一人で探すやり方に疑問を感じた

私は少し間を置いてから、できるだけ落ち着いて伝えました。

「一度、本部に相談してください。私一人に直接お願いして決めることではないと思います。私はお受けできませんので、これで電話を切りますね」

受話器の向こうが静かになりました。

「……分かりました」

それまで何度もお願いを繰り返していた声が、ようやく止まりました。私は電話を切り、冷めかけていた鍋にもう一度火をつけました。

翌日、PTAの会長に前日の電話について相談しました。

誰かを責めたいわけではなく、次の人を前任者が個人的に探し、直接お願いする形になっていることで、頼む側にも頼まれる側にも負担がかかっているのではないか、と感じたことを伝えました。

会長も事情を聞きながら、しばらく考えていました。

「確かに、一人で次の人を探す形だと、断られたときに行き詰まってしまいますね。役決めの方法は一度見直しましょう」

誰かを責めるのではなく、決め方が変わった

その後、役員の間で話し合いが行われ、次年度からは級長などの役について、特定の保護者が一人で後任を探すのではなく、全体で候補を募りながら決めていくことになりました。

後日配られた案内にも、個人の名前は書かれていませんでした。

電話をかけてきた保護者だけが悪かったとは、今でも思っていません。次の人を決めなければならないという負担を一人で抱え、焦っていた部分もあったのだと思います。

ただ、断っている相手に何度も頼み続ける方法では、お互いにつらくなるだけです。

廊下でその保護者と顔を合わせたときは、少し気まずそうにしながらも、お互いに会釈をして通り過ぎました。

誰かを責める形ではなく、同じことが繰り返されにくい方法へ変わったことに、私はほっとしました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

ほかの小説も読む

CHARACTERS

登場人物から探す

THEME

テーマ・シチュエーションから探す

ENDING

結末から探す

最も人気の短編小説

もっと見る >

スカッとする短編小説

もっと見る >

モヤモヤ短編小説

もっと見る >

ゾッとする短編小説

もっと見る >

LINEの短編小説

もっと見る >

実体験をもとにした短編小説

もっと見る >

恋愛トラブル

もっと見る >

ハラスメント

もっと見る >

金銭トラブル

もっと見る >

浮気・不倫

もっと見る >

仕事のトラブル

もっと見る >
ふと心に引っかかった「モヤモヤ」
思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」

その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

応募フォームはこちら

PROFILE

GLAM Lifestyle Editorial

編集部

日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

website
前の記事

「好きな曲、まとめたから」仲が良いわけではない中学の同級生。卒業後、数々の行動に背筋が凍った瞬間

GLAM Lifestyle Editorialのすべての記事を見る

Gallery

SHARE !

この記事をシェアする

Follow us !

GLAM公式SNSをフォローする

Feature

特集記事

Ranking