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「物置から扇風機を出してほしいの」義実家の用事を引き受けた私。だが、妻がはっきり線を引いた瞬間

「物置から扇風機を出してほしいの」義実家の用事を引き受けた私。だが、妻がはっきり線を引いた瞬間

「家族なら当たり前」で増えていった用事

結婚して間もない頃、休みの日になると妻の実家へ顔を出すことがよくありました。

義両親との関係は悪くありません。私も早く家族の一員として馴染みたいと思っていたので、義母から何か頼まれれば、できるだけ引き受けるようにしていました。

「この電球、替えてもらえる?」

「庭に水をまいておいてくれる?」

「物置から扇風機を出してほしいの」

最初のうちは、どれも少し手を貸せば済むことばかりでした。義母も私なら頼みやすかったのでしょう。妻から「いつもごめんね」と言われても、私は「これくらい大丈夫だよ」と笑っていました。

ところが、いつの間にか頼まれる用事は少しずつ増えていきました。

ある日、洗面所の棚のぐらつきを直し終えたところで、義母がバケツと掃除道具を持ってきました。

「ついでにトイレ掃除もお願い。家族ならこのくらい当たり前でしょ」

私は一瞬戸惑いました。

電球交換や重い物を動かすのとは少し違う気もしましたが、ここで断るほどでもないと思い、そのまま掃除道具を受け取りました。

ひとつ終われば、また次の用事が出てきます。いつからか私は、その日いくつ頼まれたのかを数えなくなっていました。

義母に悪気がないことは分かっていました。ただ、「家族なんだから」と言われるたびに、断りにくくなっている自分もいました。

妻が「今日はもういいでしょ」と止めた

その日、トイレ掃除を終えて居間に戻ると、私はようやく座布団に腰を下ろしました。

すると義母が、思い出したように言いました。

「そうだ、帰る前に庭の植木鉢も動かしてもらえる?」

私は反射的に「分かりました」と答えかけました。

そのとき、それまで黙っていた妻が湯呑みを置きました。

「お母さん、今日はもういいでしょ」

義母が不思議そうな顔で妻を見ました。

「何が?」

「来るたびにいくつも用事を頼むの、ちょっと多いと思う。電球とか重い物なら分かるけど、掃除まで『家族だから当たり前』っていうのは違うよ」

義母は少し驚いたように私を見ました。

「でも、嫌なら本人が言えばいいじゃない」

すると妻は、静かな声のまま返しました。

「頼まれたら断りにくいでしょ。だから引き受けてるんだよ」

義母が何か言おうとしましたが、妻は続けました。

「家族だから助け合うのは分かるよ。でも、家族になったからって何でも頼んでいいわけじゃないと思う」

部屋がしんと静かになりました。

しばらくして義母は、「そんなに頼んでるつもりはなかったんだけどね」と小さく言いました。

妻も責めるような口調にはならず、「うん。でも、これからは少し考えて」とだけ返しました。

帰り道、私は妻にお礼を言いました。

すると妻は、「もっと早く言えばよかったね」と少し申し訳なさそうに笑いました。

それからも義実家には変わらず顔を出しています。ただ、以前のように、着いた途端に次々と用事を頼まれることはなくなりました。

家族だからこそ助け合うことはあります。でも、「家族だから」という言葉で、頼む側と頼まれる側の境界までなくしていいわけではありません。

私が曖昧にしたままにしていたその線を、妻がはっきりと言葉にしてくれた出来事でした。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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