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「今お金が無いからまた来て」町内会費の回収に何度も来させる住民→役員会で出した案が通った結果

事前連絡したのに玄関先で
その年、私は町内会費の集金係に当たった。
年三千六百円、月にして三百円。回覧板で集金の日時と金額はきちんと伝えてある。
あとは各戸を回るだけのはずだった。
仕事の合間に時間を作り、リストの一軒のインターホンを押す。出てきた住民は、財布を覗き込んでこう言った。
「今お金が無いからまた来て」
「あ…はい。では改めて伺います」
事前に金額は伝えてあったはずだ。それでも申し訳なさそうな様子はまるでない。
「悪いねえ、忙しいのにね」
口ではそう言いながら、相手はあっさり扉を閉めた。
次は一万円札
後日、私はまたその家を訪ねた。今度こそ、と思って差し出された手のひらを見て、思わず固まった。
「はい、これで」
「あの…これ、一万円札ですよね」
「お釣り、お願いね」
三百円の集金に、一万円。当然、釣り銭など持ち歩いていない。
「すみません、今お釣りの持ち合わせが…」
「じゃあ取りに帰ってちょうだいよ。私だって暇じゃないんだから」
暇じゃないのはこちらも同じだ。金額は回覧板で伝えてあったはずだし、せめて千円札を用意してくれていれば、こんなことにはならなかった。
それでも相手は、迷惑をかけている自覚がまるでなかった。
「では、お釣りを用意して戻ります」
「早めにね。出かける予定があるんだから」
私は一度家に戻り、釣り銭を数えて財布に入れ直し、三たびその家の前に立った。
たった三百円のために、玄関を三往復。仕事をやりくりして空けた時間が、まるごと溶けていった。
役員会で出した一案
このやり方は、自分の代で変えたい。
私はそう思った。次の役員会で、ひとつ提案を出してみた。
「集金、各戸を回る前に集金袋を配ってはどうでしょう。金額をぴったり入れておいてもらえば、集める側も一度で済みます」
「ああ、それいいね。釣り銭でもめるの、うちもよくあるんだよ」
「お釣りなしのちょうど払い、回覧板で先に周知しておけば角も立たない」
提案はあっさり採用された。
翌年、各戸には事前に集金袋が配られ、回収はぐっと楽になった。
そして、あの住民の番が来た。集金袋を手にした私に、相手は何も言えなかった。
袋にはきっちり三百円。「また来て」も「お釣りお願い」も、もう通用しなくなっていた。
「ありがとうございます。助かります」
そう告げて袋を受け取ると、相手は少しばつが悪そうに頷いただけだった。三往復させられたあの徒労が、たった一枚の袋でなかったことになった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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