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「車をどけてください」運動会の放送で読み上げられた番号。だが、思わぬ来訪者に絶句

徒歩でしか行けない小学校
子どもの小学校は住宅街の真ん中にあって、保護者用の駐車場がありません。
案内にも毎年、おなじ一文が刷られています。
「送迎はご遠慮ください。運動場までは徒歩でお願いします」
その日の朝も、駅の駐輪場に自転車を置いて坂道を十分ほど歩きました。
校門の手前ではPTAの交通安全係が、黄色い旗を持って朝から立っています。まわりの道は、車がすれ違えないほど細いのです。
徒競走が始まったのは九時半すぎです。
夫と並んでカメラを構えたところで、スピーカーが鳴りました。
「運動場の横に停めておられる方、いらっしゃいますか」
放送は一度では終わりません。二度目に、係の方が番号を読み上げました。
「車をどけてください、路上駐車です」
聞き覚えのある番号
読み上げられた番号に、聞き覚えがありました。何度も助手席に乗った車です。
義父が納車の日に、覚えやすいからと選んだ番号でした。
カメラを持つ手が下がりました。
周りの保護者が、誰の車だろうと顔を見合わせています。
「今日来るって、聞いてた?」
「聞いてない。誘ってもいない」
夫の声も硬くなっていました。
義両親には、今年の運動会の日程を伝えていません。
保護者席が狭いので、来てもらう約束をしていなかったのです。
ゴールテープの先へ目をやると、フェンス際に見覚えのある帽子がありました。
義母です。その隣で、義父が上着のポケットを両手で探っています。私は自分の顔が熱くなるのが分かりました。
週末にかけた一本の電話
義父はフェンス沿いを小走りに戻り、鍵を鳴らして車へ向かいました。エンジンがかかり、車はゆっくり坂を下っていきます。
見ていたのは、ほんの二分ほどのことです。
戻ってきた義父は、汗を拭きながら係の方に頭を下げていました。
「案内を読まずに来てしまって、すみません」
「ご協力ありがとうございます。助かりました」
午後のリレーを、義両親は保護者席のいちばん後ろで見ていました。
週末、夫が実家に電話をかけました。
「次からは、来る前に声をかけて。駐車場がないこと、うちが先に伝えられるから」
受話器の向こうで、義母がしばらく黙りました。
「走ってるところを、見たかっただけなの」
「うん。だから次は、駅まで迎えに行く」
来年の運動会には、二人とも歩いてくるそうです。義父はもう、坂道の途中にある自販機の場所まで調べていました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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