Share
「大学に行かせて、金がないんだよ」結婚の挨拶に来た私の前で夫を指差した義父。だが、義祖母が注意した結果

結婚の挨拶で訪れた、義祖父母の家
夫と結婚する前、彼の祖父母の家へ挨拶に伺った日のことです。
私は緊張しながら和室に座り、用意してきた菓子折りを渡しました。
義祖母は「よく来てくれたねえ」と笑いながら、何度も私の湯呑みにお茶を注いでくれました。
義祖父も口数こそ少ないものの、私たちの話を聞きながら穏やかに頷いています。
床の間には、彼が子どものころに撮った写真が飾られていました。
私が気づくと、義祖母は嬉しそうに昔の話を聞かせてくれました。
「ふたりで助け合っていけば大丈夫よ」
その言葉に彼が照れくさそうに笑い、私の緊張も少しずつほぐれていきました。
そこへ、仕事を終えた義父が帰ってきました。義父は定年を過ぎていましたが、その後も仕事を続けていました。
作業着のまま座卓についた義父へ、義祖母が何気なく尋ねました。
「あんた、まだそんなに働いて。少しはゆっくりしたらどうなの」
義祖母としては、息子の体を心配して口にした言葉だったのだと思います。
ところが義父は、少し疲れたような顔をすると、隣に座っていた彼を指差しました。
「学費を出すと決めたのは、あんたでしょう」
「大学に行かせて、金がないんだよ」
彼が進んだのは、卒業まで6年かかる学部でした。
資格を取るために必要な進路で、本人もずっと勉強を続けてきたと聞いています。
もちろん、長いあいだ学費を負担した義父に大変な時期があったことは分かります。定年後も働いていることにも、家計への不安など本人なりの理由があったのでしょう。
それでも、結婚の挨拶に来ている私の目の前で、まるで息子のせいでお金がなくなったかのように言われたことには驚きました。
彼は膝の上で手を組んだまま、何も言い返しませんでした。
私はどう反応すればいいのか分からず、手元の湯呑みを見つめていました。
さっきまで和やかだった部屋が、急に静かになりました。
すると義祖母が、持っていた湯呑みをそっと置きました。
「学費を出して応援すると決めたのは、あんたでしょう」
義父は一瞬、言葉に詰まったような顔をしました。
義祖母は声を荒らげることなく、続けました。
「大変だったのは分かるけど、自分で決めたことを人様の前で子どものせいにするもんじゃないよ」
義父は何か言い返そうとしたものの、結局そのまま黙り込みました。
しばらくして、「……まあ、飯にするか」と話を変えました。
義祖父は何事もなかったようにお茶をすすり、義祖母も私へ茶菓子をすすめてくれました。
隣を見ると、彼が小さく息を吐いていました。言い返せずにいた彼に代わって、義祖母がきちんと言葉にしてくれたことで、私も少し救われた気持ちになりました。
義父にも、長年学費を負担してきた苦労はあったのだと思います。ただ、その苦労を本人の前で責めるように口にすることとは別の話です。
あの日、義祖母が静かに伝えた言葉を、私は今でもよく覚えています。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


