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「今日は、ずいぶん早かったな」祖母を送る通夜の夜。だが、寡黙な祖父がこぼした一言で思わず笑ったワケ

通夜の夜、親戚が集まった大広間で
もう20年ほど前、祖母の通夜でのことです。
葬儀を終えたあと、親戚一同で大広間に集まり、遅い夕食を囲んでいました。長机には料理が並んでいましたが、いつもの親戚の集まりとは違って、誰もあまり箸が進みません。
ときどき誰かが祖母との思い出を話しては、また静かになる。そんな時間が続いていました。
広間の奥に座っていたのが、80代後半だった祖父です。
祖父はもともと口数の少ない人でした。同居していた私でも、一日に何度話しただろうと思うほどです。
その日は長年一緒に暮らしてきた祖母を見送ったばかりということもあり、いつも以上に静かでした。
「おじいちゃん、お茶いる?」
私が声をかけても、祖父は小さくうなずくだけでした。
無理に話しかけるのも違う気がして、私もそのまま祖父の近くに座っていました。
いつも遅れてくる親戚の話になったとき
食事が少し進んだころ、遠方から来ていた親戚の話になりました。
その人は昔から時間におおらかな人で、親戚の集まりでは開始時間を少し過ぎてから現れることもしばしばありました。
ところが、その日の通夜には誰よりも早いくらいの時間に来て、準備も手伝ってくれていたのです。
「今日は早くから来てくれて助かったね」
母がそう話したときでした。
ずっと黙っていた祖父が、湯呑みを置いてぽつりと言いました。
「今日は、ずいぶん早かったな」
ほんのそれだけでした。
けれど、昔からその親戚を知っている私たちには、祖父が何を言いたいのかすぐに分かりました。
近くにいた叔父が思わず笑いながら、
「こんな日にまで、それ言うのか」と返しました。
すると祖父も、ほんの少しだけ口元を緩めました。
それまで静かだった席にも、小さな笑いが広がりました。大声で笑うような雰囲気ではありません。ただ、張りつめていた空気が少しだけやわらいだのを覚えています。
祖父はそのあと、またいつものように黙って食事を続けていました。
祖母を亡くした悲しみが消えたわけではありません。それでも、いつも通りの祖父らしい一言を聞いて、私は少し安心したのだと思います。
20年以上経った今でも、通夜の日を思い返すと、静かな大広間と、祖父がぽつりとこぼしたあの一言を思い出します。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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