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「手を合わせさせてもらえませんか」家族葬の日に訪れた祖父の知人。祖母がかけた一言とは

祖父の訃報を知ったのは、葬儀当日の朝でした
私が高校生だったころ、祖父が亡くなりました。
祖父はにぎやかなことを好む人ではなく、祖母も「最後は家族だけで静かに送りたい」と考えていました。
そこで親族で話し合い、葬儀は身内だけの家族葬にすることになりました。
近所の方や親しかった方にも、参列はお気遣いなくと伝えていたそうです。
葬儀当日、式が始まる少し前のことでした。
玄関のほうから祖母を呼ぶ声が聞こえました。
そこに立っていたのは、祖父が近所で長く付き合っていた女性でした。
祖父とは朝の散歩中によく顔を合わせ、立ち話をしたり、畑で採れた野菜を渡したりする間柄だったそうです。
ただ、その女性には祖父が亡くなったことを事前に知らせることができていませんでした。
「今朝、近所の人から聞いたんです。今日がお葬式だって」
女性はそう言って、申し訳なさそうに頭を下げました。
家族葬だということも、そのとき初めて聞いたそうです。
「中に入れてもらおうとは思っていません。玄関先でいいので、最後に手を合わせさせてもらえませんか」
祖母は少し驚いた顔をしていましたが、しばらくすると、
「せっかく来てくださったんですから、後ろの席でよければ」
と女性を中へ案内しました。
読経の途中、後ろの席から着信音が
式が始まり、堂内には住職の読経だけが響いていました。
その途中、突然、後ろの席から携帯電話の着信音が鳴りました。
先ほど来た女性の鞄からでした。
女性は驚いた様子で携帯を取り出しました。
「すみません、切ったつもりだったのに…」
慌てて画面を操作し、ほどなくして音は止まりました。
静かな場だっただけに、私も一瞬ドキッとしました。
ただ、女性が何度も小さく頭を下げる姿を見て、周囲の親族も特に何も言いませんでした。
その後、女性は携帯を鞄の奥にしまい、最後まで静かに手を合わせていました。
式が終わると、女性はすぐ祖母のところへやって来ました。
「急に来てしまったうえに、電話まで鳴らしてしまって。本当にごめんなさい」
祖母は首を横に振りました。
「そんなことはいいんですよ。あの人に会いに来てくださって、ありがとうございました」
女性はその言葉を聞くと、祖父の遺影にもう一度深く頭を下げて帰っていきました。
家族葬には、静かに見送りたいという家族の思いがあります。
一方で、訃報をあとから知り、「最後に一度だけでも手を合わせたい」と思う人もいるのだと、その日初めて知りました。
予定にはなかった参列者でしたが、祖父が近所の人と長い時間をかけて築いてきたつながりを、最後に少しだけ見せてもらったような気がしました。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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