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「牛丼の海苔がなかったぞ!」完食してから店員を怒鳴った3人の客。だが、年配の客が庇ってくれた瞬間

和やかに完食した三人組
高校生の頃、私は駅前の牛丼チェーン店でアルバイトをしていた。
夕方の混み合う時間帯に、仕事帰りらしい男性の三人組が入ってきて、全員が同じ定食を注文した。
三人はよく笑い、和やかに食事を進めていた。厨房まで届く上機嫌な声に、忙しさで張り詰めていた私も、少しだけ肩の力が抜けた。
「うまいな、ここの定食」
「また三人で来ようや」
やがて三つの器はきれいに空になり、卓上には一粒の米も残っていなかった。
満足そうに席を立った三人が、会計のためにレジへとやってくる。私はいつも通り、笑顔でレジ前に立った。
その、直後だった。
「牛丼の海苔がなかったぞ!」
先頭の男が、レジ台を強く叩いた。
定食には焼き海苔が一枚つくはずで、確かに私はそれをつけ忘れていた。血の気が引いた。
「申し訳ございません。すぐにお持ちします」
あわてて海苔を用意しようとしたが、三人の怒りは収まらなかった。
「海苔がないのに、よく平気で出せたな」
「誠意ってもんがないのか、この店は」
怒声は十分以上も続いた。頭を下げ続けながら、私の胸には理不尽さがこみ上げていた。
海苔がないと気づいていたのなら、なぜ食べ終える前に言ってくれなかったのか。器はどれも、空だった。
年配の客が放った正論
大の大人が三人がかりで、女子高生ひとりを囲んで責め立てる。
周りの客も気の毒そうにこちらを見ているのに、誰も口を開こうとはしない。
そのとき、後ろに並んでいた年配の男性客が、静かに前へ進み出た。
「ちょっといいかね」
穏やかだが、よく通る声だった。三人がいっせいに振り返る。
「食べ終わってから文句を言うのは、筋が違うでしょう」
「海苔がないなら、食べる前に気づいたはずだ。そもそも、3人が寄ってたかって怒鳴らなくたっていいじゃないか」
三人は顔を見合わせた。何か言い返そうと口を開きかけて、けれど言葉が続かない。
空になった器を背にして、反論できる材料は何ひとつなかった。
やがて先頭の男が、ばつが悪そうに目を逸らした。
低く「……もういい」とつぶやくと、そそくさと会計を済ませ、三人は逃げるように店を出ていった。
年配の男性は、私に向かって小さくうなずくと、何事もなかったように自分の会計を済ませていった。
「ありがとうございました」
去っていく背中に、私は精一杯の声で頭を下げた。海苔一枚をつけ忘れたのは、確かに私の落ち度だった。それでも、食べ終えてから責め立てるのは違う。喉の奥でつかえていたその思いを、あの人が代わりに言葉にしてくれた気がした。空になった三つの器を片づける手が、さっきよりずっと軽かった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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