Share
「就職先まで、ついてきたの」職業訓練校で張り合ってきた女性。だが、就職先での再会に絶句

「就職先まで、ついてきたの」職業訓練校で張り合ってきた女性。だが、就職先での再会に絶句
張り合ってくる年上の人
四十代で仕事を離れていた頃、資格を取り直そうと職業訓練校に通っていました。同じ教室に、私より少し年上の、四十代くらいの女性がいたのです。
その人は、私が講師に課題を褒められると、決まって表情を曇らせました。素直に喜ばせてはくれない、そんな空気がいつもあったのです。
「私のほうが、ずっと前からこの分野をやってきたのよ」
張り合うような一言が、事あるごとに返ってきます。私はただ目の前の課題をこなしていただけで、誰かと競うつもりなど少しもありませんでした。
それでも角を立てたくなくて、私は「そうなんですね」と受け流すのが精一杯だったのです。
就活のたびに対抗されて
就職活動が始まると、その傾向はいっそう強まりました。私が「家庭もあるので、無理のない範囲で働きたいんです」と話すと、すぐに言葉をかぶせてくるのです。
「私はフルタイムで、お給料のいいところじゃないと嫌なの」
進み具合も、たびたび尋ねられました。「あの会社はどうだった?」「もう決まりそう?」と、私の就活をまるで自分のことのように追いかけてくるのです。
正直なところ、その熱心さに少し息苦しさを感じていました。それでも波風を立てたくなくて、私は当たり障りのない返事を続けていました。
やがて私の就職先が決まり、訓練校を離れました。これでその距離感からも解放されるのだと、内心ほっとしていたのです。
廊下で呼び止められて
ところが、就職して1ヶ月ほど経った頃のことです。会社の廊下を歩いていると、背後からふいに名前を呼ばれました。
振り返ると、そこに立っていたのは、あの訓練校の女性だったのです。
「偶然ね。先生にこの部署を勧められて来たの。私はパートだけど」
頭が、うまく追いつきませんでした。フルタイムでなければ嫌だと、あれほど言い切っていた人が、どうしてここにいるのでしょう。別の会社がいいと話していたのは、いったい何だったのか。
後日、私はどうしても割り切れず、友人にこぼしました。
「就職先まで、ついてきたの」
友人は「世間は狭いからね」と笑っていました。たしかに、ただの偶然なのかもしれません。
それでも、あのときの割り切れなさは、今も胸の隅に残っています。挨拶は交わすけれど、あの人の言葉のどれが本音だったのか、私にはとうとう分からないままなのです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


