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「バイト代は財布ごと、渡しなさい」10代から続いた母の要求。だが、実家を出た私が取り戻したのは

「バイト代は財布ごと、渡しなさい」10代から続いた母の要求。だが、実家を出た私が取り戻したのは
初めてのバイト代を渡した日
高校生になって、初めてアルバイトを始めました。
ひと月ぶんの給料を封筒で受け取った日のことは、今でもよく覚えています。
家に帰って封筒を鞄から出すと、中を確かめる前に、母が横から手を伸ばしてきました。
「バイト代は財布ごと、渡しなさい」
財布ごと、というのは言葉のあやではありませんでした。
小銭入れもレシートも、まとめて渡すのが当たり前だという顔をしています。
「家族のために渡すのが、娘でしょう」
10代のあいだ、その言葉に逆らったことはありませんでした。
うちはお金がかかるのだと、小さい頃から聞かされて育ったからです。
20代まで続いた要求
渡し方は、社会人になっても変わりませんでした。
就職して給料が上がっても、母は当然のように手を差し出します。
「今月は、いくら入るの」
「私が、あんたのためにどれだけやってきたと思ってるの」
断ろうとすると、決まってこの一言が返ってきました。
母は意地悪で言っているのではなく、本気で、娘の稼ぎは家のものだと信じているようでした。
おかしいと気づいたのは、職場の同僚と昼食をとっていたときです。
毎月3万円を家に入れていると話すと、相手が箸を止めました。
「それ、全部お母さんに渡してるの?」
「就職してからずっとね」
「家賃を入れてるとかじゃなくて、給料をまるごと?」
驚いた顔で聞き返されて、私のほうが戸惑いました。
よその家では、そんなことはしていない。当たり前だと思っていたことが、当たり前ではなかったと、そこで初めて知りました。
一人の部屋で迎えた朝
その年の春、私は黙って部屋を借りました。母を責めたいわけではなく、自分の生活を一度、自分の手に戻したかったのです。
引っ越した朝、静かな部屋で目が覚めました。
台所に立って、自分で買ったカップにお湯を注ぎます。
財布を開けても、そこから抜かれていくお金はもうありません。
ひと月ぶんの給料が、まるごと私のものとしてそこにありました。
母とは、それから少しずつ疎遠になりました。怒鳴りあったわけでも、縁を切ると告げたわけでもありません。
ただ、静かに距離を置いただけです。
窓から朝の光が差し込んで、湯気の向こうで指先が温まっていきます。取り戻したのは、たぶんお金だけではありませんでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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