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「細いねえ、ちゃんと食べてるの」初めて妻の実家へ挨拶。待っていた義両親の対応に心温まった瞬間

「細いねえ、ちゃんと食べてるの」初めて妻の実家へ挨拶。待っていた義両親の対応に心温まった瞬間
押す前に開いたドア
結婚が決まって、初めて妻の実家へ挨拶に行った日のことです。駅から乗ったタクシーの中で、手土産の紙袋を三回持ち直しました。
坂の途中の一軒家で、表札の下に朝顔の鉢が並んでいます。インターホンに指を伸ばした、そのときでした。
内側から、勢いよくドアが開きました。
「玄関開けたよ、ようこそ来たね」
近所まで届きそうな声でした。妻の母が、サンダルを履くのももどかしそうに三和土へ降りてきます。
「はじめまして。本日はお時間をいただき…」
電車の中で三十回は繰り返した挨拶が、そこで止まりました。腕を取られたからです。
廊下を引かれていく
「細いねえ、ちゃんと食べてるの」
そう言って、私の腕を軽く叩きます。昔から知っている相手にするような手つきでした。初対面のはずです。
「い、いえ、こちらこそ、その」
靴を脱ぎきらないうちに、そのまま廊下を引かれていきました。後ろで妻が笑っています。
「言ったでしょう。うちの母、こういう人だから」
手土産を渡す間もなく居間に通されて、座布団の上に座らされます。用意してきた言葉も、順番も、全部どこかへ行ってしまいました。それなのに、肩から力が抜けていくのが自分でも分かります。
「まあまあ、まずは麦茶」
グラスが目の前に置かれた頃には、緊張はほとんど残っていませんでした。
台所から出てきた人
顔を上げて、今度は別の意味で言葉が出ませんでした。居間のテーブルに、鉢と皿がすき間なく並んでいます。里芋の煮っころがし、甘くない卵焼き、鶏の唐揚げ。どれも、私が好きだと話した覚えのあるものばかりでした。
台所から、エプロン姿の妻の父が味噌汁の椀を運んできます。
「好きだと聞いたもんだけ、並べといた」
それだけ言って、目も合わせずに椀を置きました。耳のあたりが少し赤くなっています。
「三日前から、この人ずっとそわそわしてたのよ」
「よけいなことを言うな」
妻がこらえきれずに吹き出しました。私は箸を持ったまま、しばらく何も言えませんでした。
帰り際、玄関先で妻の父が見送りに出てきて、鍋の残りを詰めた容器を紙袋ごと押しつけてきます。
「次は、何が食いたいか先に言いなさい」
坂を下りながら、紙袋の重みが手のひらに食い込んでいました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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