Share
「息子は年収も、上がっていくよ」顔合わせの席で相手の父が語り続けた自慢。だが、帰宅した母と私の本音とは

和やかだった顔合わせで、彼のお父さんが口にした一言
結婚が決まり、両家で顔合わせをしたときのことです。個室のある店で、私と母、彼と彼の両親が向かい合って席につきました。
最初こそ少し緊張していましたが、料理が運ばれてくるころには会話も増え、母も彼のご両親も笑っていました。私も「これなら穏やかに終わりそう」と、ほっとしていました。
そんななか、彼のお父さんが私を見て笑いました。
「ウチの息子と結婚できて、幸せだね」
私は一瞬、どう返したらいいのか迷いました。
「はい。いつも助けてもらっています」
そう答えると、お父さんはうれしそうに頷き、そのまま彼の話を続けました。
「昔から真面目な子でね。仕事もちゃんとしているし、会社からも評価されているみたいで」
「そうなんですね」
母も笑顔で相槌を打ちます。
「この先は役職もつくだろうし、息子は年収も、上がっていくよ」
隣では彼のお母さんも、「本当に仕事だけは真面目なんですよ」と嬉しそうに話していました。
息子の結婚がうれしいのだろうと思いました。自慢したくなる気持ちも分からなくはありません。
ただ、そのあとも話題になるのは、彼の仕事や学生時代の成績、昔からしっかりしていたという話ばかりでした。
私は何度か笑って頷きながら、母のほうをちらりと見ました。母も同じように微笑んでいましたが、次第に口数が少なくなっていました。
帰宅してから、母がぽつりと口にしたこと
顔合わせが終わり、家に戻ってお茶を飲んでいると、母がぽつりと言いました。
「彼は、本当にいい人だと思うよ」
少し間を置いて、母は続けました。
「でも、お母さんはあなたのことも少しくらい聞いてくれるのかなって思ってた」
その言葉を聞いて、私は何も返せませんでした。
そういえば、あの席で私の仕事や好きなことについて聞かれた記憶はほとんどありません。彼がどんなに立派なのかという話を聞きながら、私はただ相槌を打っていました。
「『息子と結婚できて幸せだね』って言われたときも、ちょっと気になったんだよね」
母は責めるような口調ではなく、静かにそう言いました。
「私も、少しだけ引っかかった」
彼のお父さんに悪気がなかったことは分かっています。大切な息子を誇らしく思っていただけなのでしょう。
それでも、結婚はどちらか一方が相手を選んでもらうものではないはずです。
あの日、笑顔で聞いていた「息子自慢」を思い出すたびに、私は今でも少しだけ、あの席で感じた居心地の悪さを思い出します。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


