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「あんなに押したら、傷んじゃうんじゃないか」野菜売り場でトマトを押す客。だが、店員の正論で黙り込んだ

トマトを押しては戻す女性
休日の朝、夫と近所のスーパーへ買い物に出かけたときのことです。
青果売り場でトマトを選んでいると、六十代くらいの女性が隣にやってきました。
女性はトマトを一つ手に取ると、指で何度も押してから棚へ戻しました。別のトマトも同じように触り、少し首をかしげては元の場所へ置いていきます。
熟れ具合を確かめているのでしょう。しかし、押されたトマトには、うっすらと指の跡が残っていました。
夫も気づいたらしく、私の耳元で小さく言いました。
「あんなに押したら、傷んじゃうんじゃないか」
女性は結局、トマトを一つもカゴに入れず、今度はきゅうりの棚へ移りました。そこでも何本も握って確かめ、気に入らないものは次々と戻していきます。
近くにいた客も気になるのか、女性の手元をちらちらと見ていました。
店員が静かに伝えたこと
しばらくすると、品出しをしていた店員が女性のそばへ歩み寄りました。
「お客様、恐れ入りますが、トマトは強く押さずにお選びいただけますか」
責めるような口調ではなく、穏やかな声でした。
ところが女性は、不満そうに眉を寄せました。
「買うかどうか確かめているだけよ。傷んでいるものを買いたくないでしょう」
すると店員は、女性が棚へ戻したトマトを見ながら、静かに答えました。
「お気持ちは分かります。ただ、買わない商品も、次のお客様が買うものです」
女性は何か言い返そうとしましたが、周囲の視線に気づいたのか、黙って手を引きました。
店員は続けて、トマトは見た目やヘタの状態でも選べることを説明し、傷みが気になる場合は声をかけてほしいと案内しました。
「それなら、先に言ってくれればよかったのに」
女性はそうつぶやきましたが、その後は商品を押さず、目で確かめながら一つを選んでカゴへ入れました。
女性が立ち去ったあと、夫が小さな声で言いました。
「自分が買わなくても、誰かが買う商品だもんな」
店員の言葉は、女性だけでなく、その場にいた私たちにも向けられているように感じました。
商品を選ぶときは、その後に手に取る人のことも忘れてはいけない。何げない買い物のマナーについて、改めて考えさせられた出来事です。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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