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「焼くのが遅い。もっと早くしろよ」夕食バイキングで怒鳴る客。だが、スタッフが正論を並べた結果

「焼くのが遅い。もっと早くしろよ」夕食バイキングで怒鳴る客。だが、スタッフが正論を並べた結果
湯上がりの夕食バイキング
温泉旅館に宿泊した日のことです。
ひと風呂浴びたあと、私は夕食バイキングの会場へ向かいました。
会場には和洋さまざまな料理が並び、なかでも人気を集めていたのが、シェフが目の前で肉を焼いてくれるライブキッチンでした。
鉄板から香ばしい匂いが漂い、その前には十人ほどの列ができています。
私も最後尾に並び、順番を待つことにしました。
列の前方には、七十代くらいの男性が立っていました。
男性は何度も腕時計を見ながら、落ち着かない様子で鉄板をのぞき込んでいます。
鉄板の向こうでは、若いシェフが数枚の肉を一度に焼いていました。
表面に焼き色をつけたあと、火の通り具合を確認し、一枚ずつ皿に盛りつけています。
すると突然、男性が大きな声を上げました。
「焼くのが遅い。もっと早くしろよ」
周囲にいた人たちが、驚いたように男性のほうを見ます。
シェフは手を止めずに、男性へ頭を下げました。
「申し訳ございません。次の焼き上がりまで、もう少々お待ちください」
しかし、男性は納得しません。
「さっきから待ってるんだ。肉を焼くだけだろ。もっと手際よくできないのか」
シェフは困った表情を浮かべながらも、肉を焦がさないよう鉄板へ視線を戻しました。
急かされたからといって、火の通りを無視して提供するわけにはいきません。
それでも男性は、鉄板のすぐ近くから何度もシェフへ声をかけ続けていました。
スタッフが伝えた冷静な案内
その様子に気づいた女性スタッフが、男性のそばへ歩み寄りました。
「お客様、お待たせして申し訳ございません。こちらは焼き上がった順番にお渡ししております」
男性は不満そうな顔でスタッフを見ます。
「だから、もっと早く焼けと言っているんだ」
スタッフは声を荒らげることなく、落ち着いた口調で続けました。
「中まで火を通して安全にお出しするため、次の焼き上がりまで三、四分ほどかかります。お急ぎでしたら、すぐにお取りいただける料理もご案内いたします」
それでも男性は、鉄板を指さしました。
「俺はこれを食べたいんだよ。お前らのとこは客を待たせるのか」
スタッフは表情を変えませんでした。
「皆様、同じ順番でお待ちいただいております。恐れ入りますが、シェフへの大きな声でのお声がけはお控えください」
丁寧な言い方でしたが、伝えるべきことははっきりと伝えていました。
男性は何か言い返そうとしましたが、近くにいた家族連れや夫婦から視線が集まっていることに気づいたようです。
しばらく黙ったあと、小さな声で言いました。
「じゃあ、あと何分なんだ」
「三分ほどでお渡しできます」
スタッフが答えると、男性は不満そうに息を吐きながらも、それ以上は怒鳴りませんでした。
やがて肉が焼き上がり、シェフが順番に皿を手渡していきます。
男性も自分の番になると皿を受け取り、何も言わずに席へ戻っていきました。
スタッフはシェフに近づき、小さな声で「そのままのペースで大丈夫ですよ」と声をかけました。
シェフはほっとした表情でうなずき、再び鉄板へ向き直ります。
その後は列も滞ることなく進み、私も無事に焼きたての肉を受け取ることができました。
料理を急いでほしい気持ちは分かります。
しかし、ほかの客も同じように順番を待っています。まして、調理中のスタッフを大声で急かしても、料理が早く完成するわけではありません。
相手を刺激せず、それでも必要な注意はきちんと伝えたスタッフの対応が、強く印象に残った出来事でした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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