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「あいつはケチだった」通夜で故人を悪く言い続けた親戚。見かねた一同が席から立たせた瞬間

「あいつはケチだった」通夜で故人を悪く言い続けた親戚。見かねた一同が席から立たせた瞬間
通夜の席に響いた声
祖母の通夜だった。しめやかな読経が終わり、親族が広間に集まって、静かに故人を偲んでいた。
誰もが祖母との思い出を、小さな声で語り合っていた。
祖母は、誰にでも手を差し伸べる人だった。近所の子どもたちにも慕われ、その人柄を惜しむ声が、あちこちで交わされていた。
その静けさを破ったのは、末席で酒を重ねていた遠縁の親戚の男だった。もう顔は赤く、手にした杯を掲げて、大きな声を上げた。
「あいつはケチだった」
広間の空気が、一瞬で凍りついた。誰もが箸を止め、男のほうを見る。けれど当の本人は、まるで気にする様子もなかった。
「金を貸してくれと頼んでも、一円も出さなかったんだ」
「けちな婆さんだったんだから、まあ仕方ないわな」
男は笑いながら、次々と祖母の悪口を並べていく。周りの親戚は困り果て、顔を見合わせるばかりだった。
「おじさん、その辺で」隣に座っていた親戚が、小声でたしなめる。それでも男は聞く耳を持たず、なおも杯を重ねた。私は膝の上で、ぎゅっと拳を握りしめた。
見かねた一同が立たせた夜
喪主である父が、静かに立ち上がった。声を荒らげることもなく、まっすぐ男を見据えて言った。
「今日は、やめてください」
それだけだった。けれど、その一言には有無を言わせぬ重みがあった。だが男は、悪びれる様子もなく言い返した。
「本当のことを言っただけだ、何が悪い」
開き直ったその言葉に、こらえていた親戚たちが動いた。
「もう、いいでしょ」
母の隣に座っていた叔母が、静かに、けれどはっきりと言った。それを合図に、ひとり、またひとりと親戚が立ち上がる。
「席を外しましょう。故人の前ですよ」
「今日はお開きです。お引き取りを」他の親戚も次々に口を開いた。誰もが祖母のために、静かに、けれど毅然と男に告げていた。
年長の伯父が男の肩に手を置き、諭すように告げた。周りの視線が、いっせいに男へと集まる。逃げ場のない空気に、さすがの男も言葉を失った。
男は何か言いかけて、口を開いた。けれど、誰ひとり味方がいないことに気づいたのだろう。赤かった顔から、すっと血の気が引いていく。
「……わかった、わかったよ」
ばつが悪そうに立ち上がると、男は伯父に連れられ、逃げるように広間を出ていった。残されたのは、もとの静けさだった。
張り詰めていた広間の空気が、少しずつやわらいでいった。私は、ようやく肩の力を抜いた。
父が遺影に向かって、深く頭を下げる。母が、そっとその背に寄り添った。悲しい夜に土足で踏み込まれた場所を、一同の結束が取り戻してくれた。広間には、祖母を偲ぶ穏やかな声が、また少しずつ戻ってきた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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