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「このタイミングで電話にでるの!?」焼香の最中に鳴った着信音。だが、男の対応に会場が凍りついてしまった瞬間

祖父を見送る日
その日は、祖父の葬儀でした。
長く家族に囲まれて穏やかに旅立った祖父を、遠方の親族まで大勢が集まって見送る、静かな一日になるはずでした。
告別式が始まり、参列者が一人ずつ焼香に立ちます。
会場は水を打ったように静まりかえり、僧侶の低い読経だけが、ゆっくりと空気を満たしていました。
私も順番を待ちながら、祖父との思い出を胸の中で静かにたどっていました。
誰もが同じように、それぞれの別れを噛みしめて、その時間を大切に過ごしていたのだと思います。
静寂を破った着信音
焼香がなかばまで進んだ、そのときでした。
突然、陽気なポップソングの着信音が、大音量で会場に鳴り響いたのです。
音の主は、親族の男性でした。
慌てて切るのかと思いきや、その人はあろうことか、そのまま電話に出てしまったのです。
「もしもし。ああ、今ちょうどお葬式だから、あとでかけ直すね。そういえば、この前の」
あたりをはばかる様子もなく、大きな声で話し始めます。
厳かだった空気は一瞬で凍りつき、参列者は誰も言葉を発せられず、ただ絶句するばかりでした。
(このタイミングで電話にでるの!?)
あまりのことに、私は自分の目を疑いました。
低く続いていた読経の声もかき消され、進んでいた焼香の列が、ぴたりと止まってしまいます。
凍った空気を鎮めた一言
誰もが動けずにいたそのとき、見かねた年配の親戚が、静かに席を立ちました。
ゆっくりと男性のそばまで歩み寄り、その肩にそっと手を添えます。
「ここでは、いけないよ。切りなさい」
声を荒げるでもなく、けれど有無を言わせない、まっすぐな一言でした。
男性ははっと我に返り、ばつが悪そうに電話を切ります。
年配の親戚は正面の祭壇へ向き直り、深く一礼しました。
そして参列者のほうにも、詫びるように静かに頭を下げたのです。
その所作ひとつで、ざわめきかけた空気が、すっともとの静けさを取り戻していきました。
乱れかけた焼香の列も、何事もなかったように、また静かに動き始めます。
厳かな時間を、たった一人の毅然とした振る舞いが守ってくれました。場を乱す人がいても、それを静かに正そうとする人は必ずいる。私は祖父の遺影に手を合わせながら、その頼もしい背中に、心の中でそっと頭を下げていたのです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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