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「前は手数料を取られなかったわよね」手続きの途中でレッスンへ急いだ客→受付が静かに示した正論

「前は手数料を取られなかったわよね」手続きの途中でレッスンへ急いだ客→受付が静かに示した正論
夕方の受付カウンター
会員制のジムで受付をしています。
平日の夕方は、一日でいちばん人が動く時間帯です。
四十代くらいの女性が、入会の手続きに来られました。
「前もここ、使ってたのよ。書くところだけ教えて」
「ありがとうございます。ご住所とお名前をお願いします」
記入はすぐに終わり、次は料金のご案内です。
月会費、ロッカー代、それから入会時の手数料。
「入会手数料として、3300円を頂戴しております」
ペン先が、用紙の上で止まりました。
「前は手数料を取られなかったわよね」
数年前まで、手数料をいただかない期間があったのは事実です。その後の改定で、いまはどなたにも同じご案内をしています。
「現在は、ご入会の方全員に同じ金額でご案内しております」
「そんなのおかしいでしょ」
「ご意見として、必ずお伝えいたします」
レッスンまであと十分
壁の時計は六時二十分。彼女が出たいレッスンの開始まで、あと十分です。
「もういいから、早く。レッスン行きたいの、時間ないんですけど」
「規約のご確認とご署名が、まだ残っております」
「後で書くって言ってるでしょ」
用紙を押し返し、彼女はスタジオのほうへ体を向けます。ロッカーの鍵も会員証も、まだお渡ししていません。
「恐れ入ります。手続きを最後まで済ませないと、ご利用いただけません」
声は張りません。張る必要もありませんでした。
押し返された用紙
彼女の足が、スタジオの手前で止まります。
「……は?私、もう会員でしょ」
「ご署名をいただいて、会員証をお渡ししてからになります」
言いかけた言葉を、彼女は一度飲み込みました。
時計とスタジオの扉を交互に見て、それから受付の列へ目をやります。後ろには、会員証を手にした方が三人。
彼女の視線が、カウンターの木目に落ちました。戻ってくる足音は、来たときよりずっと静かです。
「……どこに書けばいいの」
「こちらとこちらに、お願いいたします」
署名は五分もかかりません。レッスンには間に合いませんでしたが、彼女はスタジオの前で中の様子を見ています。
「来週から、出ます」
「お待ちしております」
会員証を財布にしまうとき、彼女は小さく頭を下げました。3300円の領収書も、同じ場所へ入っていきます。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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