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「缶ビール、いくらなんだ」会計前に勝手に開けた客。非常識な行動に思わず絶句

自動ドアが開いた音
夜の十時を回った頃、近所のコンビニでドリンクの棚の前に立っていました。
自動ドアが開いて、体格のいい男性が二人、まっすぐこちらへ歩いてきます。
私は少し脇にずれて、棚の前を空けました。
一人が扉を開けて、350mlの缶を1本つかみ取ります。
その手が、レジではなく、そのまま自分の口元へ向かったのです。
プシュッ、と音がしました。
自分が何を見ているのか、すぐには分かりませんでした。
男性は缶に口をつけて、喉を鳴らして飲んでいます。
店内にいたのは、私と、雑誌の棚の前にいた男だけでした。
カウンターに落ちた小銭
もう一人がレジのほうへ歩いていきました。
カウンターの若い男性の店員さんは、手を止めたまま缶を持った人を見ています。
「缶ビール、いくらなんだ」
店員さんは口を開きかけて、言葉が出ませんでした。
「聞いてんだよ」
男性はポケットから小銭をつかみ出し、数えもせずにカウンターへ放りました。
硬貨が跳ねて、いくつかは床に落ちます。乾いた音が店内に響きました。
「あ、あの」
店員さんが言えたのは、それだけでした。
缶を持った男性が、こちらを振り返ります。
固まったままの店員さんと、動けずにいる私と、立ち尽くしている男を、順番に見ていきました。
そして、笑ったのです。面白いものを見た、という顔でした。
「行くぞ」
缶を持ったまま自動ドアへ歩いていきます。もう一人も、笑いながら後を追いました。
誰も何も言いませんでした。私も、声が出なかったのです。
後ろ姿が見えなくなるまで
ドアが閉まってからも、店の中は静まったままでした。
男の子と目が合いました。どちらからともなく、窓の外を見ます。
二人の後ろ姿は、街灯の下をゆっくり遠ざかっていきます。
その姿が見えなくなってから、ようやく棚から手を離せたのです。
レジへ行くと、店員さんは床に落ちた硬貨を拾い集めていました。
「……大丈夫でしたか」
店員さんは小さくうなずいて、カウンターの奥のモニターに目をやりました。
「記録を確認します。本部にも報告しますので」
声はまだ落ち着いていませんが、その手はもうモニターへ向かっていました。
会計を済ませて、私は早足で店を出ました。
暴れられたわけでも、怒鳴られたわけでもありません。それなのに、家に着くまで足が震えていたのです。
怖かったのは、あの人たちを誰も止められなかったことと、それを面白がって笑っていたことでした。
あれから、夜の遅い時間にあの店へ行くのはやめました。
昼間は何ともないのに、暗くなってからあの自動ドアの前に立つと、あの日の音が耳に戻ってくるのです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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