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「レジ袋いるに決まってるだろ」若い店員を怒鳴りつけた客。だが、後ろの小学生の一言で黙り込んだ

「レジ袋いるに決まってるだろ」若い店員を怒鳴りつけた客。だが、後ろの小学生の一言で黙り込んだ
夕方のレジに響いた怒鳴り声
夕方のスーパーは、どの列も人でいっぱいでした。
私が並んだ列の前。五十代くらいの男性客が、山盛りのカゴを台にどんと置きました。
レジを打っていたのは、まだ学生に見えるほど若い女性店員です。
商品を通しながら、いつもの言葉をかけました。
「レジ袋はご利用になりますか」
次の瞬間、店内の空気が変わりました。
「レジ袋いるに決まってるだろ」
声が、列の端まで届きました。周りの客が一斉にそちらを向いたのが、背中越しにも分かります。
「見ればわかるだろ。カゴいっぱいに買ってるのに、袋なしでどうやって持って帰るんだ」
店員は手を止めて、深く頭を下げました。
「申し訳ございません」
「いちいち聞くなよ。時間の無駄なんだよ」
また頭を下げます。何度も、何度も。うつむいた横顔が赤くなっているのが見えました。
列にいた人は誰も動けませんでした。
おかしいのは向こうだと分かっているのに、あの剣幕を前にすると声が出ないのです。
列の後ろから聞こえた素朴な問い
静けさを破ったのは、後ろのほうから聞こえてきた小さな声でした。
「お母さん、袋いりますかって聞くのは決まりなんだよね?」
小学校の中学年くらいの男の子でした。
責める調子はまるでなく、ただ不思議そうに母親を見上げています。
母親は少し戸惑った顔をしましたが、普通に答えました。
「そうよ、聞かないといけないの」
「じゃあ、あのお姉さんはちゃんとやってるんだね」
子どもの声は、静けさによく通りました。
誰かを責める調子ではなく、教わったことを確かめただけの言い方です。
列に並んでいた人が、そろって小さくうなずきました。前の年配の女性も、隣の列の男性も。
誰も言葉には出しません。ただ、うなずいただけです。
怒鳴っていた男性の背中が、はっきりと固まりました。
「……いや、だから」
そこから先が続きませんでした。振り返りかけて、途中でやめて、また前を向きます。
誰とも目を合わせようとしませんでした。
「お会計、二千八百円になります」
店員がそう告げると、男性は無言で札を差し出しました。袋を抱えると、自動ドアの向こうへ足早に消えていきます。
その姿が見えなくなったあと、列にいた何人かが、ほとんど同時に口を開いたのです。
「大丈夫ですか」
私も、自分の番が来たときに同じことを言いました。
店員は一度頭を下げてから、今度は顔を上げて笑ってくれました。
「ありがとうございます。大丈夫です」
後ろでは、あの男の子がまだ母親と話しています。
「ちゃんと聞いてくれたほうが、いいよね」
母親は何も答えずに、その頭をぽんと撫でていました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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