Share
「お子さんを見せてください」突然家に訪れた二人組。身に覚えのない主張に思わず絶句

昼下がりのインターホン
旅行から戻って数日後の昼下がり、玄関のインターホンが鳴った。モニターに映っていたのは、見慣れない女性と男性の二人組だった。
「児童相談所の者です。少し、お話を聞かせてください」
玄関を開けると、女性のほうが控えめに、けれどはっきりと切り出した。
「お子さんを見せてください」
「え……どういうことでしょうか」
うちの子に何かあったのか。頭が真っ白になりながら、私は詳しい事情を尋ねた。玄関先には、旅先で買ったおみやげの紙袋が、まだ積まれたままだった。
身に覚えのない訴え
職員が口にしたのは、寄せられた匿名の一報だった。
「2時間も泣き声がしてた」
そう訴える連絡があり、大きな怒鳴り声も聞こえたと書かれていたらしい。ある日の夕方の出来事だと、職員は日付まで具体的に告げた。それを聞いて、私は思わず顔を上げた。
「その日は旅行で留守です」
抑えようとしても、声が大きくなった。その日はまさに、家族そろって遠くへ出かけていた日だったのだ。昼間は誰ひとり家におらず、子どもたちもずっと私のそばにいた。
「失礼ですが、それを確かめられるものはありますか」
「あります。写真も、宿の記録も、全部そろっています」
私は急いでスマートフォンを取り出した。
「ほら、朝からこの通り、みんなで写ってます」
画面に並んだ家族写真には、撮影の日時も旅先の景色もくっきり残っている。子どもたちが笑って手を振る一枚も、宿の予約を確認できる画面も、続けて見せた。
晴れた濡れ衣
最初は硬い表情だった二人が、写真をめくるうちに、はっと目を見開いた。次に互いへ視線を交わし、小さく息をつく。張りつめていた空気が、目に見えてほどけていった。
「たしかに、この日はお留守だったようですね」
そして調査員が最後に漏らした一言で、私の肩から力が抜けた。
「どうやら、別のお宅と取り違えられたようです。ご不快な思いをさせて、失礼しました」
その言葉に、思わず玄関先で背筋が伸びた。深々と頭を下げて帰っていく二人を、私はまっすぐ見送った。
後日、同じ並びの家で赤ちゃんの夜泣きが続いていたと耳にした。声のする方角を、誰かが早合点したのだろう。私は近所の人に、旅行中だった事実だけをはっきり伝えておいた。
「そうだったの、勘違いって怖いわね」と、相手はばつが悪そうに目をそらした。それきり、うちを疑うような視線は消えた。
疑いは、きれいに晴れた。事実がすべてを証明してくれた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


