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「だから、予約は取れないってことですよね?」会話がうまく噛み合わないお客様。何度目かのやり取りで気づいた、お客様の本当の言い分

年内の予約を取りたい一本の電話
美容院の受付に立つ私のもとへ、その電話がかかってきたのは、まだ秋風が涼しい頃だった。
年内中に予約を取りたい、というご年配の女性客の声だ。
落ち着いた口調で、最初は何の違和感もなかった。
カットとカラーの空き状況を予約画面で順番に確かめてから、私は丁寧にお伝えした。
「12月までならお取りできますが、他の年内の予約はもう埋まっています」
受話器の向こうで、相手が小さく息を吐く気配があった。
少し間を置いて、こう返ってきた。
「12月までに取りたいんです」
(あれ、それなら大丈夫なはずなのに)
違和感を抱えながら、私はもう一度、12月内なら平日も土日も候補があることを説明した。
希望の曜日と時間帯を伺うと、客は再びこう繰り返す。
「だから、予約は取れないってことですよね?」
何が伝わっていないのか分からないまま、私は同じ説明を表現を変えて三度繰り返した。
スタイリストの予約状況を読み上げ、ご都合の良い日にちはありますかと尋ねる。
隣でメモを書いていたカラー担当の同僚が、手を止めてポカンとこちらを見ていた。
店長まで届いたとんでもない一言
結局、その日は何の予約も入らないまま電話が切れた。
後味の悪さだけが残ったが、まだ序章だった。
翌日から、その客は店の代表番号に何度も電話を入れてきた。
先日の対応がひどい、納得できない、と訴える。
受けた別のスタッフが私のところへ困った顔で回してくる。
同じ説明を、私はまた最初から繰り返す。声色を変えても言い回しを丁寧にしても、結論はいつも噛み合わないままだった。
そのうち電話は店長にまで上がった。何度目かのやり取りで、ついに客の本音が漏れた。
「12月は年内ではないのでしょうか??」
電話を切ったあとに店長から聞かされた私は、思わず受付で固まった。
(え、12月って、誰が考えても年内ですよね)
こちらが何度説明しても通じなかった理由が、ようやく分かった。
最初から、相手の中で「年内」と「12月」が別の月として動いていたのだ。だから空きがあると言われても、本人にはずっと断られたように聞こえていた。
クレームは結局、こちら側に非がないまま、店長が低姿勢に何度も謝ることで収まった。
納得していないのは間違いなく相手のほうなのに、頭を下げ続けたのはこちらだった。受話器を置いた手の重さと、後ろで気まずそうに視線を逸らした同僚の表情を、私は今もはっきりと覚えている。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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