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「気づいた人がやればいいんじゃない?」床が汚れても放置する夫。だが、妻があえて掃除をやめた結果

「気づいた人がやればいいんじゃない?」床が汚れても放置する夫。だが、妻があえて掃除をやめた結果

気づかない夫

結婚して一年、我が家の掃除はいつも私の担当だった。夫はきれい好きというわけでもなく、ただ汚れに気づかないのだ。

床に髪の毛やほこりが落ちていても、まるで見えていないように過ごす。テレビの前に座り、足元の綿ぼこりをまたいでソファへ向かう。

「ねえ、そこ髪の毛落ちてるよ」

「ああ、ほんとだ」

返事だけはいい。けれど、結局しゃがんで拾うのはいつも私だった。拾ったそばから、また新しい一本が落ちる。終わりのない作業に、少しずつ疲れが溜まっていった。

その夜、思い切って言ってみた。

「掃除、たまには気づいたときにやってくれると助かるな」

夫はスマホから顔も上げずに答えた。

「気づいた人がやればいいんじゃない?」

その一言が、妙に胸に残った。気づいた人。つまり、いつも私ということだ。

一週間の実験

翌朝、私は決めた。

今日から「気づかない人」になってみようと。

床に落ちた髪の毛を、見て見ぬふりで通り過ぎる。指がむずむずした。いつもなら反射的に拾っているものだ。

でも、ここで手を出したら何も変わらない。ぐっとこらえて素通りした。

最初の三日間、夫は何も言わなかった。本当に見えていないらしい。

五日目、ソファの下から綿ぼこりが顔を出し始めた。六日目には、フローリングの隅で髪の毛が薄く輪を描いていた。

それでも私は掃除機に手を伸ばさなかった。

そして一週間後の朝。出勤前の夫が、廊下でぴたりと足を止めた。

「床、髪の毛だらけだぞ」

私は洗濯物をたたむ手を止めずに、静かに顔を上げた。

「気づいた人がやるんだよね?」

動き出した背中

夫の口が、半開きのまま止まった。

何か言いかけて、飲み込む。視線が床と私の間を二度往復して、最後にゆっくり床へ落ちた。

「……あ、そういうことか」

その表情は、怒っているのでも、拗ねているのでもなかった。自分の言葉が、そっくりそのまま返ってきたことに、ようやく気づいた顔だった。

その日の夜、帰宅した夫は無言で掃除機を引っ張り出した。慣れない手つきでソファの下に先端を突っ込み、隅の髪の毛まで丁寧に吸い取っていく。

それからの夫は、少しずつ変わった。私が指摘する前に、床のほこりへ自分から気づくようになったのだ。

「掃除できる人、けっこうかっこいいよ」

そう返すと、夫は照れたように鼻をこすった。掃除は、押しつけ合うものじゃない。気づいた人が、その家をいちばん大事にできる人なのだ。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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