Share
ボスママ「次の土曜は公園ね!」→「勝手に決めないで」都合も聞かずに予定を仕切る→初めて誘いを断ると

全部、決めてくる人
幼稚園で仲良くなったママ友のグループに、何でも仕切りたがる人が一人いた。お迎えの時間になると、決まって彼女が口火を切る。
「次の土曜は公園ね!」
「夏休みはこの施設に行こう。みんなで予約しちゃうから」
(勝手に決めないで)
こちらの都合を聞く前に、もう予定は決まっている。みんな顔を見合わせるけれど、流れに逆らえずに頷いてしまう。私もその一人だった。
「あの、その日は……」
「大丈夫大丈夫、みんな来るから。ね?」
言いかけた言葉は、彼女の勢いにいつも押し戻された。本当は習い事の送迎がある日も、家の用事がある日もある。それでも「行けない」の一言が、どうしても口から出てこなかった。
初めて口にした「ごめんね」
付き合いを重ねるほど、土日が彼女の予定で埋まっていく。さすがに息が詰まってきて、私は決めた。予定がある日は、きちんと断ろう、と。
次の集まりの話が出たとき、私はいつもより少しだけ声を張った。
「ごめんね、その日はうちの用事があって、行けないんだ」
その瞬間、彼女の動きが止まった。当然みんな来ると思っていたのだろう。一拍おいて、彼女は探るように口を開いた。
「えっ、来ないの?みんなで決めたのに」
「みんな」で決めた覚えはなかったけれど、私は穏やかに繰り返した。
「うん、その日は無理。また誘ってね」
場が、しんと静かになった。私は彼女の次の言葉を待った。
誰も合わせなくなった日
沈黙を破ったのは、いつもおとなしいママだった。
「実は私も、その日ちょっと厳しくて……」
続けて、もう一人も小さく手を挙げる。
「私も。毎回全部は、正直しんどかったんだよね」
同じ思いの人が、こんなにいたのか。彼女は誰かが同調してくれるのを待つように見回したが、頷く人は一人もいなかった。「えっと……じゃあ、行ける人だけで」勢いを失った声が、尻すぼみに消えていく。
それからグループの空気は、すっかり変わった。
「今度の土曜、公園どう?行ける人いる?」
「私行くー。子ども連れてくね」
誰かが軽く投げて、行ける人がゆるく集まる。来られない日は、気兼ねなく断れる。仕切る人の号令を待つ必要は、もうどこにもなかった。
あの日を境に、彼女は私たちを誘う立場から、誘われる側へと変わった。前のように先回りで予定を埋めることもなくなり、今では「私も入れてもらっていい?」と控えめに尋ねてくる。ひとこと「行けない」と伝えるだけで、ここまで景色が変わるなんて思わなかった。風通しのよくなったグループで、私は久しぶりに気楽に笑えた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


