Share
「俺の人生潰す気か」結婚まで考えていた彼。だが、クローゼットの中から出てきた小箱の中身に別れを決意

クローゼットの奥に隠されていた箱
マッチングアプリで知り合った彼は、年収も外見も穏やかさも、これ以上望めないほど整っていた。
半年で結婚の話が出て、両家への挨拶日程まで決まりかけていた。
出張が多い彼の家に泊まりに行ったのは、付き合って8か月目の金曜日のことだ。
家には誰も入れたことがないと聞かされていた部屋を、その夜ようやく預けてもらえた格好だった。
彼が深夜まで帰らないと言うので、私はバスタオルを探してクローゼットを開けた。
整然と畳まれたシャツの奥に、小箱が押し込まれていた。
手前のタオル類とは明らかに扱いが違って、わざと布をかぶせて隠した跡があった。
胸騒ぎがした。蓋を開けた瞬間、私は息を止めた。
中には小さな子どものへその緒と、見知らぬ女性と幼児に挟まれた彼の家族写真が並んでいた。
写真の裏には、子どもの生まれた年月日が彼の字で記されていた。
逆上した瞬間の本性
その夜、帰宅した彼に私は箱を差し出した。最初は青ざめ、次に黙り込み、3分後には豹変した。
「バラしたら許さない」
低い声でそう言ってから、彼はドアを背にして私を遮った。
「俺の人生潰す気か」「会社に言ったらお前も終わる」。
今までの優しさが嘘のように、口調も目つきも別人だった。
半年間ずっと「君を絶対に大事にする」と言っていた口で、初めて私を脅す側に回った瞬間だった。
恐怖よりも、半年分の言葉が全部嘘だった事実のほうが冷たく沈んできた。
私は静かに荷物をまとめ、その日のうちにビジネスホテルに移動した。
震えながらも、頭の中はやけに澄んでいた。
明日からやるべきことが、もう順番に並んでいた。
弁護士が下した社会的制裁
翌週、私は不貞慰謝料に強い弁護士の門を叩いた。
証拠は揃っていた。
アプリの登録画面、半年分のメッセージ履歴、家族写真とへその緒の箱の撮影データ、結婚前提と明記した彼自身の文章。弁護士は資料に目を通し、迷わず内容証明を準備した。
請求は私の分だけではなかった。
事情を知った弁護士の助言で、被害者の本妻にも丁寧に経緯を伝え、彼女からも別途請求が走る形になった。
完璧だった肩書きの彼は、内容証明1通で勤務先と家庭の両方にひびを入れていった。
脅し文句で押し切れると踏んだ相手が、書面1枚で逆に逃げ場を失っていく姿は、笑えるくらい静かなものだった。
裁判まで進むことはなく、彼は提示額をのみ込んで離婚調停の俎上に乗った。
送金完了の通知が届いた日、私は1人で静かな店に入り、グラス1杯だけワインを頼んだ。
残ったのは、嫌悪でも未練でもなく、二度と同じ男に時間を渡さないと決めた静かな解放感だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事

