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「変わった人だから関わらないようにして」障子を開けた瞬間に水を浴びせてきた隣人。だが、注意した時の言い訳に絶句

細道一本隔てた向かいの家
実家は古い住宅街の一角にある。
歩行者が2人ですれ違うのがやっとの細い道を挟んで、向かいに60代の女性が一人で暮らしている。
引っ越してきた頃から愛想がよくはなく、こちらが頭を下げても無言で通り過ぎる人だった。
母は「変わった人だから関わらないようにして」とだけ言っていた。
その日、私は週末に実家へ顔を出していた。両親が高齢になってきたので、月に一度は座敷の掃除を手伝う流れになっている。
畳の上に積もったほこりを掃きたくて、縁側の障子を端から端まで開けた。
春の風が入る前に、勢いよく水が顔と座敷の畳に飛び込んできた。
水滴ではない。バケツをひっくり返したような量だった。
畳の半分が一瞬で濡れ、めくれたチラシが床に張りつく。
何が起きたのか分からず、思わず障子の外へ顔を出した。
向かいの家の前に、ペットボトルを腰の高さで構えた60代の女が立っていた。雨は降っていない。空は晴れていた。
「自分ちの木に撒いただけ」と逆ギレ
「すみません、家の中まで水が入ってきたんですが」
私はできるだけ穏やかに声をかけた。
相手は一瞬目を泳がせたあと、急に眉を吊り上げた。
「自分ちの木に撒いただけ」
そう言って、自分の塀のそばにある低木を指差す。
確かに小さな木は植えられている。けれど、ペットボトルの口は明らかにこちらの家の方を向いていた。
距離にして1メートルもない細い道で、水の勢いだけが座敷に届く角度だった。
「うちの座敷が濡れたんです」
もう一度言うと、相手は声を一段高くした。
「自分の敷地で水を撒いて何が悪いの」
「あんたが障子を開けたのが悪い」と、こちらの落ち度に話をすり替えていく。
手にしたペットボトルがまだ半分以上残っていて、指の力でぐっと潰れる音が細道に響いた。受け答えのテンポが妙に滑らかで、過去にも誰かに同じ言い訳をしたことがあるような口ぶりだった。
奥の部屋から父が出てきた。
声を聞きつけたらしい。私が状況を短く説明すると、父は塀ごしに静かに目を合わせ、低い声で一言だけ告げた。
「いい加減にしてください、警察に言いますよ」
女の表情から一気に色が抜けた。
さっきまでの威勢が嘘のように、口を半開きにしたまま動かない。
数秒の沈黙のあと、女は何も言わず背を向け、玄関の戸を閉めて中へ消えた。
細道に残ったのは、座敷に広がる水溜まりと、向かいの家のぴたりと閉じた雨戸だけだった。
あの日以来、向かいの窓のカーテンがほんの少し揺れるたび、私は実家の座敷の障子に背筋がぞくりとする。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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