Share
「残りの14万円は、私が払いました」成人式の振袖を母と選びに行った。後日、振袖の店からかかってきた電話に絶句

「残りの14万円は、私が払いました」成人式の振袖を母と選びに行った。後日、振袖の店からかかってきた電話に絶句
「振袖代は全部お母さんが出すから」
成人式の振袖を選びに行ったのは、まだ暑さの残る時期だった。店に並んだ着物を見ながら、母は柄よりも先に値段を気にしていた。
「これ、思っていたより高いんだね」
「だからレンタルでもいいよ。私、そんなにこだわりないし」
そう言うと、母は首を横に振った。
「振袖代は全部お母さんが出すから。せっかくなんだから、好きなのを選びなさい」
私はその言葉に甘えて、最初に目が留まった一着を選んだ。支払いは母が分割にすると決め、契約者になったのも母だった。ただ、着用する本人の連絡先として、私の携帯番号も書類に記入していた。
成人式当日、振袖姿の私を見た母は、とてもうれしそうだった。
「お母さまと、連絡が取れなくて」
それからしばらくたった平日の昼、振袖の店から私の携帯に電話がかかってきた。
「お支払いが途中で止まっておりまして。お母さまにもご連絡しているのですが、つながらなくて」
私は驚いた。母が払っているものだとばかり思っていたからだ。なぜ支払いが止まったのか、私にも分からなかった。
すぐに母へ電話をかけ、メッセージも送った。しかし返事はない。
何度も店から連絡してもらうのも申し訳なくなり、私は残額を確認した。
「私が代わりに払うことはできますか」
店に確認し、残っていた14万円を私が支払った。
その日の夜、母に「残りの14万円は、私が払いました」と伝えると、今度はすぐに返事が来た。
「ありがとう。必ずお金渡すね」
その一言を見て、私は少しほっとした。いずれ返してもらえるのだと思った。
けれど、あれから7年。母とは今も普通に連絡を取り、会えば他愛のない話もする。それでも、14万円の話が母の口から出たことは一度もない。
私からも聞けないままだ。「必ず渡すね」という言葉を、なかったことにされたようで寂しくなるからだ。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


