Share
「せっかく皆さん集まったので、一言いいですか」息子の初節句の乾杯直前。義父の兄の一言に絶句

「費用は全部出すから」と、義父母は張り切っていました
三人目の子どもの初節句を、夫の実家で盛大に祝おう。
そう義父母が言い出したのは、息子が生まれて間もないころでした。
夫と私は、近しい身内だけで静かに済ませるつもりでした。
しかし義母は、「せっかくの初節句なんだから、親戚にも見てもらいましょうよ」と、すっかり乗り気です。
義父も「費用はこちらで全部出すから」と何度も言いました。
当時は義父母と同居しており、会場も自宅の座敷です。二人が楽しみにしている様子を見ていると、強く断ることもできませんでした。
結局、当日は夫側と私側を合わせて20人近い親戚が集まりました。
座敷には料理がずらりと並び、飾られた兜の前では、息子が大勢の大人に囲まれて不思議そうに周囲を見ています。
「今日は息子のために集まってくださって、ありがとうございます」
夫が挨拶を終え、いよいよ乾杯に移ろうとした、そのときでした。
乾杯の直前、義父の兄が立ち上がりました
皆がグラスを手にしたところで、上座にいた義父の兄が、にこにこと笑いながら立ち上がりました。
「せっかく皆さん集まっているので、一言いいですか」
何の話だろうと思っていると、義父の兄は、自分の娘が近く結婚することになったと話し始めました。
普段は親戚がこれだけ集まる機会も少ないため、せっかくならこの場で報告しておきたいと思ったようです。
最初は短い報告だけかと思いました。
しかし、相手がどんな人なのか、いつごろ式を挙げる予定なのかと話は続きます。
そして最後には、笑顔でこう言いました。
「またみんなで、娘のことも祝ってやってください。めでたい話が重なったということで、乾杯!」
勢いにつられるように、何人かがグラスを掲げ、拍手まで起こりました。
私は息子を抱いたまま、戸惑ってしまいました。
娘さんの結婚はもちろんおめでたいことです。ただ、今日は息子の初節句を祝うために集まった席です。
隣を見ると、夫も突然のことに驚いた表情をしていました。
何か言おうとしているようでしたが、すでに周囲で拍手が始まっており、口を挟むタイミングを失っていました。
母が笑顔のまま、話を元に戻してくれました
すると、私の母が静かに立ち上がりました。
「お嬢様のご結婚、おめでとうございます。とても喜ばしいお話ですね」
そう言ってから、母は息子のほうを見ました。
「ただ、せっかくですので、まずは今日の主役であるこの子の初節句に、改めて乾杯させていただけませんか」
座敷が一瞬静かになりました。
そのあとすぐに、「そうだね」「今日は初節句だったね」という声があちこちから上がりました。
義父の兄も、そこでようやく自分が話しすぎてしまったことに気づいたようでした。
「ああ、そうだったな。すまん、うれしくてつい話しすぎた」
少し照れたように笑いながら、席に戻りました。
夫が改めてグラスを掲げると、今度は座敷いっぱいに息子への「おめでとう」という声が広がりました。
そのあと、義父が私のそばに来て、小さな声で言いました。
「悪かったな。兄貴も、娘のことで舞い上がってたんだと思う」
母は何事もなかったように、息子をあやしていました。
相手を責め立てなくても、言うべきことをきちんと伝えれば、場の流れを戻すことはできる。あの日の母の姿を見て、私はそう感じました。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


