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「ねえ、ついでにうちの子も映してもらえない?」運動会で我が子を追うだけで精一杯だった妻。だが、妻が静かに返した一言とは

年に一度の運動会、妻がカメラ係でした
ずいぶん前、子どもが幼稚園に通っていたころの話です。
年に一度の運動会になると、我が家も朝から落ち着きませんでした。
当時は、子どもの姿を大きなビデオカメラで撮影する家庭が多く、我が家も一台持っていました。ただ、私は機械の操作があまり得意ではありません。
「撮るのは私がやるから、あなたは応援してね」
そう言って、毎年カメラ係を引き受けていたのが妻でした。
ロープの周りにはカメラを手にした保護者が並んでいます。
妻も少しでも見やすい場所を探し、カメラを構えていました。
やがて、我が子が出るかけっこの時間が近づきます。
「どこにいる?あの列かな」
妻はファインダーをのぞきながら、何度も位置を確認していました。
似たような体操服と帽子の子どもたちが並ぶ中から、自分の子だけを見つけて追い続けるのは、思った以上に大変だったようです。
同じクラスのお母さんから頼まれたこと
そんなとき、同じクラスの子のお母さんが妻のところへやってきました。
「ねえ、ついでにうちの子も映してもらえない?」
どうやらその日はカメラを持ってきていなかったようです。
せっかくの運動会なので、少しでも子どもの姿を残しておきたいと思ったのでしょう。
気持ちは分かります。ただ、妻は自分の子を画面から見失わないようにするだけで精一杯でした。
妻は少し困った顔をしましたが、すぐに穏やかな声で答えました。
「ごめんなさい。私、うちの子を追うだけで精一杯で、ちゃんと撮れる自信がないの」
相手のお母さんは一瞬驚いたようでしたが、すぐに笑いました。
「そうよね。急に頼んでごめんね」
それだけで話は終わりました。
ほどなくして笛が鳴り、子どもたちが一斉に走り出します。妻は無言でカメラを動かし、私は横から大きな声で名前を呼びました。
競技が終わったあと、私は妻に聞きました。
「ああいうの、断りにくくなかった?」
すると妻は、カメラをしまいながら言いました。
「あのお母さんも、自分の子を残しておきたかっただけでしょう。でも、できないことを引き受けて撮れなかったほうが、お互い嫌な気持ちになるから」
頼んだ側にも事情がありますし、断る側にも事情があります。相手を責めなくても、自分にできる範囲をきちんと伝えればいいのだと、そのとき気づかされました。
何十年もたった今でも、運動会を思い出すと、必死にカメラを構えていた妻の姿と、あの穏やかな一言を思い出します。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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