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「こちらの指輪もお外ししますね」火葬場での職員の対応。だが、伯母がこぼした一言に感じた違和感

母の指から、指輪が外れなかった
母の葬儀の日のことです。
式を終え、火葬場へ向かう前の準備をしていたとき、葬儀社の方から声をかけられました。
「金属類は外していただくようお願いされていますので、こちらの指輪もお外ししますね」
母の左手には、長年つけていた指輪が残っていました。
私は何も考えず、「お願いします」と答えました。
担当の方が母の手を取り、ゆっくり指輪を動かします。しかし、なかなか抜けません。
「少し固くなっていますね。無理をしないようにやってみます」
そう言いながら、指の向きを変えたり、指輪を少しずつ回したりしていました。
乱暴に扱われていたわけではありません。担当の方が気を遣ってくださっていることも、頭では分かっていました。
それでも私は、その光景を見ているのがつらくなってきました。
母はもう何も感じない。そう分かっているのに、指輪を抜こうとするたびに手が少し動くと、まるで痛がっているように見えてしまったのです。
「すみません…できるだけ、優しくお願いできますか」
思わずそう声をかけると、担当の方はすぐに手を止めました。
「もちろんです。申し訳ありません。もう少しゆっくりやりますね」
責めるつもりはありませんでした。ただ、昨日まで母の手だったものに、力が加わるところを見ていることに耐えられなかったのだと思います。
伯母が、ぽつりと言ったこと
その様子を隣で見ていた伯母が、私に小さな声で言いました。
「もう痛くないんだから、大丈夫よ」
伯母は母の姉です。
慰めようとして言ったのか、それとも自分自身に言い聞かせていたのかは分かりません。
私は一瞬、何も返せませんでした。
「…うん。分かってる」
それだけ答えました。
伯母の言っていることは間違っていません。母はもう痛みを感じることはない。それは私にも分かっていました。
けれど、そのときの私は、母が亡くなったことをまだ気持ちの上では受け止めきれていなかったのでしょう。
少し前まで握り返してくれた手です。
何度も料理を作り、私の髪を結び、子どものころには手をつないで歩いてくれた手でした。
だからこそ、最後まで大切に扱ってほしいと思ってしまったのです。
結局、指輪は時間をかけて外していただきました。担当の方は最後まで丁寧に対応してくださいました。
何年たっても思い出すのは、指輪そのものより、あの日の伯母の言葉です。
理屈では分かっていても、気持ちが追いつかないことはあるのだと、今でもあの日を思い出すたびに感じます。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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