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「こんな最後の最後で、どこに行ったの」披露宴の最後に消えた父。だが、今ではただの笑い話になったワケ

最後の最後で、父の姿がなかった
何十年も前のことですが、自分の結婚式で起きた出来事は今でもよく覚えています。
披露宴は大きなトラブルもなく進み、最後の挨拶も無事に終わりました。
このあとは私たち新郎新婦と両家の両親が先に会場を出て、出口に並んで招待客を見送る予定になっていました。
スタッフから声をかけられ、私は夫と一緒に出口へ向かおうとしました。
ところが、その場にいるはずの父の姿がありません。
母も周囲を見回しながら、「さっきまでいたんだけどね」と困った顔をしていました。
スタッフの方もすぐに気づき、会場の外を確認しに行ってくれました。
「お父さまが、まだお戻りになっていないようです」
見送りには両家の両親も一緒に並ぶ段取りだったため、少しだけ待つことになりました。
招待客には司会の方が自然につないでくれていたのですが、事情を知っている私は気が気ではありません。
「こんな最後の最後で、どこに行ったの……」
夫に小声でそう言うと、夫も苦笑いするしかないようでした。
思い返してみれば、父は披露宴の途中からいつもよりずいぶん上機嫌でした。
親戚から次々とお酒を勧められ、そのたびに断らず杯を空けていたのです。
普段はそれほど飲む人ではありません。それだけに、私は少し心配していました。
「まだ少し時間があると思って」
数分後、廊下の向こうから父が急ぎ足で戻ってきました。
「悪い、悪い」
父は申し訳なさそうにそう言いながら、ネクタイを直していました。
どうやら最後の挨拶が始まる少し前にトイレへ行きたくなったものの、「終わるまでには戻れるだろう」と思って席を外していたようです。
ところが、思っていたより進行が早く、戻ったときにはすでに見送りの準備に入っていました。
「お酒も勧められて、つい飲みすぎたな」
父はばつが悪そうに笑っていました。
当時の私は、正直かなり恥ずかしかったです。
大切な披露宴の締めくくりで、まさか自分の父親をみんなで待つことになるとは思ってもいませんでした。
それでも父が戻ると、スタッフの方はすぐに仕切り直してくれました。
私たちと両家の両親が出口に並び、何事もなかったように招待客を見送ることができました。
その最中、父は何度も「今日はありがとう」と親戚や友人に頭を下げていました。
普段は口数の少ない父が、あの日だけはずっと嬉しそうだったことも覚えています。
もちろん、そのときは「最後くらいちゃんとしてよ」と思いました。
けれど年月が経つにつれ、あの数分間も含めて父らしい思い出だったのだと思えるようになりました。
今では家族が集まると、「結婚式の最後にいなくなった人がいたよね」と笑い話になることがあります。
そのたびに父は、「あれはタイミングが悪かっただけだ」と、今でも少し照れくさそうに言い訳をしています。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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