MENU

Share

HOME LIFESTYLE STORY COLUMN

「本当に真面目な子でしてね」披露宴での親族の挨拶。だが、あまりの話の長さに感じた本音とは

「本当に真面目な子でしてね」披露宴での親族の挨拶。だが、あまりの話の長さに感じた本音とは

久しぶりに届いた、元同僚からの招待状

もう30年ほど前のことです。入社してから5年ほど一緒に働き、特に気の合った同僚が退職しました。

職場が変わってからは会う機会も減っていたのですが、しばらくして彼から結婚式の招待状が届きました。

懐かしい名前を見て、私は迷わず出席することにしました。

当日の披露宴には、両家の親族が大勢集まっていました。

新婦側は親戚同士のつながりが強い家だそうで、「遠方から来てくれた親族にも、せっかくだから一言ずつ祝ってもらいたい」と両家の希望があったようです。

司会者からも最初に、

「このあと、ご親族の皆さまから短くお祝いのお言葉を頂戴します」

と案内がありました。

一人ひとりが本当に短い挨拶なら、それほど時間はかからないはずです。私も特に気にしていませんでした。

ところが、最初の方がマイクを持つと、昔の思い出を丁寧に話し始めました。

「新郎は小さいころから、本当に真面目な子でしてね」

笑いも起き、温かな拍手もありました。ただ、その挨拶が思った以上に長かったのです。

そして次の方も、前の人が思い出話をしたのを見て、「私も少しだけ」と話し始めました。

一言ずつの予定が、少しずつ長くなっていった

三人、四人と続くうちに、誰も本当に「一言」では終わらなくなっていました。

新郎新婦との思い出、両親との付き合い、幼いころの話。

どれも悪い話ではありません。むしろ、二人を大切に思っていることが伝わってきました。

だからこそ、司会者も途中で止めにくかったのだと思います。

料理も順番に運ばれてきましたが、挨拶を聞きながら何度も拍手をするため、なかなか箸が進みません。

せっかく温かいうちに運ばれてきた料理に、手をつけるタイミングを逃すこともありました。

やがて隣に座っていた男性が、小さな声で言いました。

「今ので、6人目かな」

私も思わず腕時計を見ました。途中に料理の提供などは挟まっていたものの、親族の挨拶が始まってから、かなりの時間が経っていました。

予定されていた余興も一部短くなったようで、司会者が何度も進行表を確認している姿が見えました。

正直に言えば、「そろそろ終わらないかな」と思ってしまいました。

けれど、ふと高砂を見ると、新郎新婦は一度も嫌そうな顔をしていませんでした。

話す人のほうへ体を向け、うなずき、話が終わるたびに拍手をしていました。

「ありがとうございます」

元同僚だった新郎も、そのたびに深く頭を下げています。

披露宴がお開きになったのは、始まってからおよそ2時間後でした。

出口で彼に握手をされ、

「今日は来てくれてありがとう」

と言われました。

長かったな、とはさすがに言えませんでした。

今でもあの日を思い出すと、次々に続いた親族の挨拶が真っ先に浮かびます。ただ同時に、その一つひとつを最後まで笑顔で受け止めていた二人の姿も、妙に印象に残っているのです。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

ほかの小説も読む

CHARACTERS

登場人物から探す

THEME

テーマ・シチュエーションから探す

ENDING

結末から探す

最も人気の短編小説

もっと見る >

スカッとする短編小説

もっと見る >

モヤモヤ短編小説

もっと見る >

ゾッとする短編小説

もっと見る >

LINEの短編小説

もっと見る >

実体験をもとにした短編小説

もっと見る >

恋愛トラブル

もっと見る >

ハラスメント

もっと見る >

金銭トラブル

もっと見る >

浮気・不倫

もっと見る >

仕事のトラブル

もっと見る >
ふと心に引っかかった「モヤモヤ」
思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」

その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

応募フォームはこちら

PROFILE

GLAM Lifestyle Editorial

編集部

日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

website
前の記事

「聞いて!ありえないんだけど!」長文の愚痴を送り続ける友人。関係を壊さず会話を終わらせた方法

GLAM Lifestyle Editorialのすべての記事を見る

Gallery

SHARE !

この記事をシェアする

Follow us !

GLAM公式SNSをフォローする

Feature

特集記事

Ranking