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「お前じゃ話にならないよ、責任者を呼べよ」値段が違うとレジで怒鳴った客。だが、思わぬ勘違いに絶句

レジ前に響いた怒鳴り声
その日、私はスーパーのレジに並んでいた。夕方の店内は買い物客でほどよく混み、レジにも数人の列ができていた。
私のすぐ前に立っていたのは、買い物かごを台に叩きつけるように置いた年配の男性客だった。
会計が始まってすぐ、男性が声を荒らげた。
「値段が違うと思うよ!」
どうやら、レジに表示された合計金額が、自分の思っていた額より高かったらしい。
男性はレジの画面を指さし、鼻息を荒くしていた。
レジを担当していたのは若い女性の店員さんだった。
彼女はすぐに手を止め、丁寧に頭を下げた。
「申し訳ございません、すぐに確認いたします」
それでも男性は収まらなかった。
店中に響くほどの大声で言い放った。
「お前じゃ話にならないよ、責任者を呼べよ」
店内が、しんと静まり返った。並んでいた人たちも、みんな気まずそうに目を伏せている。
それでも店員さんは顔色ひとつ変えず、落ち着いた声で応じた。
「もう一度、商品を確認させていただきますね」
店員が読み上げた値札
店員さんは慌てる様子もなく、男性の買った商品を一つずつ手に取り、袋から出して値札を読み上げていった。
私は後ろで、その落ち着いた横顔をただ見ていた。
「こちらの商品は、税込みでこの金額でお間違いございません」
男性が、店員の手元をのぞき込む。
その瞬間、あれだけ動いていた口が、ぴたりと止まった。
確認していくと、彼が「安い」と思い込んでいた金額は、隣の棚に並んだ別商品の値札だったのだ。
よく似たパッケージを、自分のほうで勝手に見間違えていたらしい。
店員さんは責めるでもなく、ただ淡々とその値札の場所を指し示した。
「……いや、それは」
さっきまでの勢いが、みるみるしぼんでいく。
責任者を呼べと怒鳴っていた口は、今度は言い訳の言葉すら見つけられずにいた。
「……もういい」
男性はそれだけ小さく言い残すと、会計を素早く済ませ、レジを離れていった。
謝罪の言葉は、最後まで一つもなかった。
後ろに並んでいたお客さんの何人かが、小さく息をついて顔を見合わせている。
あれだけ大声で責め立てられても、店員さんは一度も言い返さず、最後まで丁寧に対応を続けていた。そんな空気の中でも彼女は表情を崩さず、次の私に穏やかに笑いかけてくれた。
「お待たせしました」
怒鳴り声の大きさと、引き際の小ささ。その差があまりに大きくて、妙に胸に残った夕方だった。あの店員さんの毅然とした姿だけが、今も忘れられずにいる。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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