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「大丈夫だから遊んどいで」子供が泣いても話に夢中だった母親。だが、ベンチにいた私が動いた瞬間

砂場の前のベンチで
昼を少し過ぎたころ、私は近所の公園のベンチで昼食を取っていました。
紙袋から出したサンドイッチと、買ったばかりのコーヒー。目の前の砂場では、3人の子どもたちが遊んでいます。
バケツに砂を詰めてはひっくり返し、いくつもの山を作っていました。
「もっと大きいの作ろう」
「こっちも掘っていい?」
楽しそうな声が聞こえてきます。
砂場から少し離れたところには、子どもたちの母親らしい女性が2人立っていました。
一人が身振りを交えて話し、もう一人が何度も笑っています。会話が弾んでいるようで、砂場を見る様子はありませんでした。
「大丈夫だから遊んどいで」
そのとき、一人の子どもがスコップですくった砂を勢いよく持ち上げました。
砂は山ではなく、隣にいた子どもの顔にかかってしまいます。
「痛い!」
砂をかけられた子どもは顔を押さえ、その場で泣き出しました。
泣き声を聞いた母親たちは、一度だけ砂場を振り返ります。
子どもは目をこすりながら立ち上がり、母親のもとへ駆けていきました。
「ママ、目が痛い……」
ところが母親は、子どもの顔をよく確認しないまま答えました。
「ちょっと砂がかかっただけでしょ?大丈夫だから遊んどいで」
背中を軽く押し、砂場のほうへ戻します。
「それでね、さっきの話なんだけど……」
母親はすぐに友人との会話を再開しました。
戻された子どもは砂場の縁に座り込みました。ほかの子どもたちが遊びを再開するなか、一人だけ目を押さえたままです。
何度もまばたきをしていますが、片方の目をうまく開けられないようでした。
私が立ち上がると
しばらく様子を見ていましたが、子どもはまだ泣いていました。
砂のついた手で目をこすろうとしているのも気になります。
私はサンドイッチを紙袋に戻し、ベンチから立ち上がりました。
そのまま子どものそばまで行き、少し離れた場所から声をかけます。
「目に砂が入ったの?」
子どもは片目を閉じたまま、こくりとうなずきました。
「手でこすらないほうがいいよ。お母さんを呼ぼうか」
私が母親のほうを振り返った瞬間、ようやくこちらの様子に気づいたようでした。
母親は会話を止め、慌てて駆け寄ってきます。
「どうしました?」
「目に砂が入ったみたいです。さっきから片方の目を開けられず、ずっとこすろうとしていたので」
その言葉を聞き、母親は初めて子どもの顔を正面からのぞき込みました。
「本当だ。目、開けられないの?」
子どもは泣きながら首を横に振ります。
先ほどまで一緒に話していた母親も、すぐ近くの水道を指さしました。
「水で流したほうがいいんじゃない?」
母親は子どもの手を取り、公園の水道へ連れていきました。
目をこすらせないようにしながら、きれいな水で砂を流します。
しばらくすると、子どもはゆっくり目を開けられるようになりました。
「もう痛くない?」
母親が尋ねると、子どもは涙を拭きながらうなずきます。
母親はほっとした表情を浮かべたあと、私のほうを向きました。
「ありがとうございました。大したことないって決めつけて、ちゃんと顔を見ていませんでした」
私は首を横に振りました。
「ずっと目をこすっていたので、少し気になっただけです」
母親は子どもの頭をなでながら、静かに言いました。
「痛かったね。ちゃんと見なくてごめんね」
子どもたちはその後、再び砂場で遊び始めました。
しかし母親2人は、先ほどまでいた離れた場所には戻りませんでした。砂場の縁に腰を下ろし、子どもたちの様子を見守っています。
私はベンチに戻り、紙袋からサンドイッチを取り出しました。
その横に置いていたコーヒーは、すっかりぬるくなっていました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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