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「払えないものは払えない、返品もしない」商品を受け取ったまま代金を払わない客。上司が静かに告げた一言

「払えないものは払えない、返品もしない」商品を受け取ったまま3回続いた相手に、上司が静かに告げた一言
催促の電話をかける席
コールセンターでアルバイトをしていたころの話です。
私の担当は、通販で商品を受け取ったものの、期限を過ぎても代金の入金が確認できていないお客様へ、支払いをお願いすることでした。
多くの方は、電話をするとすぐに事情を話してくださいます。
「すみません。振り込んだつもりで忘れていました」
「振込用紙をなくしてしまったのですが」
「承知しました。新しい振込用紙をお送りしますね」
ほとんどの場合は、それだけで解決していました。
そのため、次のお客様の情報を画面に表示したときも、特に身構えてはいませんでした。
呼び出し音が四回鳴り、相手が電話に出ます。
会社名と自分の名前を伝えた途端、受話器の向こうから大きなため息が聞こえました。
「また、その話ですか」
「はい。先日お届けした商品の代金について、現在もご入金が確認できておりません」
「払えないものは払えないの。商品も返さないから」
予想していなかった返答に、一瞬言葉が詰まりました。
「ご事情がある場合は、お支払い方法について担当部署へ確認することもできますが……」
「そんなこと頼んでないでしょ。しつこいのよ」
そのまま電話を切られてしまいました。
耳元には、通話が途切れた音だけが残ります。
支払いの遅れは今回で3回目
対応履歴を入力していると、隣の席にいた先輩が声をかけてきました。
「大丈夫?」
「支払わないし、商品も返さないと言われました」
先輩は私の画面を確認し、小さくうなずきました。
「この方、支払いが遅れるのは今回で3回目なの」
過去の履歴を見ると、以前の注文でも期限までに入金がなく、電話や書面で何度か催促したあとに支払っていました。
「前回までは、最終的に払っているんですね」
「そう。でも、今回はすでに何度も案内しているから、通常の電話対応だけでは終われないと思う」
先輩は上司に状況を伝えました。
しばらくすると、上司が私の席までやってきます。
「次の対応をするので、隣で聞いていてください」
上司は対応履歴を確認しながら、同じ番号へ電話をかけました。
上司が伝えた次の手続き
呼び出し音が二回鳴ったところで、相手が電話に出ました。
「だから、払わないって言ってるでしょ」
相手は名乗る前から、強い口調でそう言いました。
それでも上司は、落ち着いた声で話し始めます。
「これまで複数回ご案内しておりますが、現在もご入金が確認できておりません」
「だから、今は払えないの」
「承知しました。それでは本日付で通常のご案内を終了し、支払期限を記載した書面を郵送いたします」
受話器の向こうが静かになりました。
上司はそのまま続けます。
「書面に記載した期限までにご入金が確認できない場合は、債権管理を担当する部署へ引き継ぎます。また、今後のご注文についても停止の手続きを取らせていただきます」
「ちょっと待って。担当部署って何をするの」
「未払いとなっている代金について、今後の対応を進める部署です。ご入金が確認できれば、引き継ぎは停止いたします」
先ほどまで怒鳴っていた声が、急に小さくなりました。
「今日中に払えば、まだ間に合うの?」
「はい。本日中にご入金いただき、確認が取れましたら、今回の手続きはそこで終了します」
「分かった。今日中に振り込むから」
上司は最後まで声の調子を変えることなく、振込方法を改めて案内して電話を終えました。
その日の夕方、顧客情報の画面に「入金確認済み」と表示されました。
言い返すことが仕事ではない
画面を見ていると、上司が私に声をかけました。
「怒鳴られて、怖かったでしょう」
「何を言えばいいのか分からなくなってしまいました」
「言い返す必要はありませんよ」
上司はそう言って、対応履歴を確認しました。
「こちらが感情的になると、話が余計にこじれます。必要な事実と、次に行う手続きを落ち着いて伝える。それが毅然と対応するということです」
私はそれまで、毅然とした対応とは、相手に負けない強い言葉を返すことだと思っていました。
しかし、本当に必要なのは、声を荒らげることではありません。
相手の勢いに流されず、会社の決まりに沿って、伝えるべきことを淡々と伝えることだったのです。
その日の上司の電話対応は、その後も長く心に残りました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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